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「もはや家電は家電メーカーのものではない」新価値創造展 2014 講演リポート(1/3 ページ)

「新価値創造展 2014」のビジョンセミナーに、デザイン家電ブランドamadanaの代表取締役社長を務める熊本浩志氏が登壇。中国の家電メーカー、ハイアールのCCOでもある同氏は、amadanaの事業戦略や家電業界におけるビジネスモデルの変化について語った。

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 2014年11月19〜21日に東京ビッグサイトで「新価値創造展 2014」が開催された。20日のビジョンセミナーでは、デザイン家電ブランドamadana(アマダナ) 代表取締役 社長の熊本浩志氏が「製造業から創造業へ」をテーマに講演を行った。同氏はamadanaの事業戦略や、近年の家電業界におけるビジネスモデルの変化について語った。


数値化されない価値を持った家電を

amadana 代表取締役 社長の熊本浩志氏(左)とamadanaの理念(右)(クリックで拡大)出典:amadana

 熊本氏は東芝で家電の開発に従事した後、リアル・フリートを設立。2014年6月に社名を同社のブランドであるamadanに変更し、「FROM JAPAN GO GLOBAL」をテーマに日本の伝統技術とテクノロジーを組み合わせた家電の企画・開発を行っている。2014年6月には中国の家電メーカー、ハイアール アジア インターナショナルとパートナーシップを結び、熊本氏は同社のチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)に就任している。

 熊本氏が東芝を退社してamadanaを創業したのは、大手メーカーが開発する家電がユーザーにもたらす価値に違和感を感じたからだという。「高度経済成長期は、家電メーカーが開発したテレビや電子レンジなどの家電が人々の生活を便利にしていった時代だった。自分は家電屋の息子だが、モノが増えた今の時代、生活が家電によって従来ほど劇的に変わることはないように思う。それでも、日本の大手メーカーはより高機能、高性能といった数値化できる価値を追求していったが、自分はおしゃれさやかっこよさといった、情緒的な価値を持った家電がもっとあってもいいのではないかと考えた」(熊本氏)。

「自分たちは体験価値からハードウェアを考えるブランド」

amadanaがNTTドコモやNECとのコラボレーションして開発した「amadanaケータイ」(クリックで拡大)出典:amadana

「BAGTTERY」(クリックで拡大)出典:amadana

 熊本氏は携帯電話機、ヘッドフォン、冷蔵庫など、さまざまな家電の開発を手掛けるamadanaについて「自分たちは体験価値からハードウェアを考えるブランドである」と語る。その一例として同氏は、バッテリーを内蔵したバッグ「BAGTTERY(バッグテリー)」の開発コンセプトについて説明。スマートフォンの普及により、従来よりバッテリー切れに対しての意識が高まって点に着目し、ユーザーのライフスタイルの中にどうやってバッテリーを仕込むかという観点で開発を進めたという。

 熊本氏はこうしたユーザー体験を念頭に置いた製品開発について、「日本では完成品を作る企業の立場が強かったが、現在はその主導権がユーザーに移りつつある。あらゆる技術や機能のコモディティ化が進んだことで、現在はファッション性などの付加価値によって製品が買われる時代。日本の企業はスペックや価格競争を続けているが、amadanaはそういった数字で置き換えられる価値ではないものを発信していく」と説明する。

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