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アベノミクス第3の矢を実現する10のイノベーション【前編】安倍政権の命運を左右する?(2/6 ページ)

安倍政権が推し進める経済再生政策の「第3の矢」を実現する上で重要な役割を担っているのが、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」だ。年間予算がそれぞれ数十億円に達するSIPの10のプログラムについて、「SIPシンポジウム」の講演内容に沿って前後編に分けて紹介する。

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次世代パワーエレクトロニクス

 省エネルギー社会の実現に向け、あらゆる機器の電気エネルギー制御を行うパワーエレクトロニクスに関する技術革新は重要な役割を担う。SIPでは「次世代パワーエレクトロニクス」の開発が課題として挙げられており、より電力損失の少ない新材料や、SiC(シリコンカーバイド)やGaN(ガリウムナイドライト)といった次世代パワーデバイスに関する基盤技術の研究開発に取り組む。平成26年度(2014年度)予算として、22億円が配分されており、PDは三菱電機 開発本部 役員技監の大森達夫氏が務める。


「次世代パワーエレクトロニクス」に関するプログラムの概要(クリックで拡大)出典:内閣府

「次世代パワーエレクトロニクス」のPDを務める三菱電機 開発本部 役員技監の大森達夫氏

 大森氏は「現在、パワーエレクトロニクスの主要な材料として利用されているシリコンにも性能面で限界がくる。電力損失を10分の1にできる次世代材料を開発できれば、電子機器のサイズもさらに小型化が可能になる。次世代パワーエレクトロニクスに関する世界市場は今後拡大すると予測されており、国際的な技術競争も激化している。このプログラムでは、パワーエレクトロニクスの性能を向上させ、豊かな省エネルギー社会の実現と産業競争力の強化に貢献していく」と説明した。

 同プログラムでは、SiC/GaNのそれぞれに関する基盤技術の開発、次世代パワーモジュールの利用方法の検討、新材料や新構造の開発など、4つの研究開発項目が設定された。研究項目の下には、より詳細な開発テーマが設けられており、海外の研究開発動向を見ながら、1年ごと研究計画・目標を見直すとしている。

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