ARM開発環境準備の第一弾、書き込み器を用意する:「mbed」で始めるARMマイコン開発入門(2)(3/3 ページ)
この連載では、組み込みの世界では最も成功したプロセッサの1つ「ARM」を用いたマイコン開発にチャレンジします。今回は開発環境準備第1弾として、「書き込み器」の用意をします。
書き込みソフトの導入
Windowsの場合、書き込みソフトはいろいろあるのですが、本連載では「lpc21isp」を使います。これを選択した理由は、オープンソースであること、クロスプラットフォームであること、フットプリントが小さいこと、CUIであることなどが挙げられます。
最後のCUIであることにはGUI全盛の時代にあって多少異論もあろうかと思いますが、個人的にはGUIでウィンドウ数が多くなると作業効率の低下を招く気がしますし、CUIならば本連載で紹介するようなコマンドラインをテキストでコピー&ペーストできるというメリットもあると思います。
lpc21ispをWindows環境ですぐに使いたい読者は、こちらからEXEをダウンロードしてください。また、他のプラットフォームやソースを見てみたい、あるいは自分でビルドしたいという読者はこちらからダウンロードしてください。
入手したらZIPを展開してREADMEをご覧ください。Windowsの環境でのビルドの仕方と、Linuxなどのgccが使える環境でのビルドの仕方が説明してあります。コマンドプロンプトでEXEがビルドされたディレクトリにホームを移動して「lpc21isp」とタイプして、以下のように表示されればビルドは成功です。
>lpc21isp
 
Portable command line ISP
for NXP LPC family and Analog Devices ADUC 70xx
Version 1.97 compiled for Windows: Sep 19 2014, 16:42:06
Copyright (c) by Martin Maurer, 2003-2013, Email: Martin.Maurer@clibb.de
Portions Copyright (c) by Aeolus Development 2004, www.aeolusdevelopment.com
 
Syntax:  lpc21isp [Options] file[ file[ ...]] comport baudrate Oscillator_in_kHz
Example: lpc21isp test.hex com1 115200 14746
Options: -bin         for uploading binary file
         -hex         for uploading file in intel hex format (default)
         -term        for starting terminal after upload
         -termonly    for starting terminal without an upload
         -localecho   for local echo in terminal
         -detectonly  detect only used LPC chiptype (NXPARM only)
         -debug0      for no debug
         -debug3      for progress info only
         -debug5      for full debug
         -donotstart  do not start MCU after download
         -try<n>      try n times to synchronise
         -wipe        Erase entire device before upload
         -control     for controlling RS232 lines for easier booting
                      (Reset = DTR, EnableBootLoader = RTS)
         -boothold    hold EnableBootLoader asserted throughout sequence
         -controlswap swap RS232 control lines
                      (Reset = RTS, EnableBootLoader = DTR)
         -controlinv  Invert state of RTS & DTR
                      (0=true/assert/set, 1=false/deassert/clear).
         -verify      Verify the data in Flash after every writes to
                      sector. To detect errors in writing to Flash ROM
         -logfile     for enabling logging of terminal output to lpc21isp.log
         -halfduplex  use halfduplex serial communication (i.e. with K-Line)
         -writedelay  Add delay after serial port writes (for compatibility)
         -ADARM       for downloading to an Analog Devices
                      ARM microcontroller ADUC70xx
         -NXPARM      for downloading to a chip of NXP LPC family (default)
おやおやこの表示を見て気づいたのですが、lpc21ispにはターミナルエミュレータの機能もあるみたいですね。せっかくですから先ほどのteratermで行ったループバックテストを試して見ましょう。書き込み器側のTxDとRxDをショートさせて、hello world!と打つと確かに返ってきますね。
>lpc21isp -termonly com2 9600 14746 lpc21isp version 1.97 Terminal started (press Escape to abort) hello world! Terminal stopped
おわりに
今回は「TeraTerm」「lpc21isp」といったオープンソース系のソフト利用させて頂きました。この誌面をかりて感謝の意を表します。次回はクラウド開発環境で実際にサンプルソースをコンパイルして、実行ファイルをPCにダウンロードして、ターゲットマイコンに書き込む所までやってみたいと思います。そしてLPC1114とブレッドボードでLEDを点滅(Lチカ)させてみます。お楽しみに。
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