会社を辞めないで起業する方法:zenmono通信(2/4 ページ)
モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回は、「チーム・0→1(チーム・ゼロイチ)」代表の赤木優理さんにお話を伺った。
enmono三木氏 起業を、夜や土日にやるのですか?
赤木氏 そうです。起業家の方たちを見ていて感じたのは、24時間仕事をしていても、すごく楽しそうにやっているということです。自分のやりたいことと、ぴたっとはまって、仕事じゃなくなる。趣味なんです。会社員の方たちが休みの日にゴルフをやるのと同じように、趣味として起業ができるようになれば面白いなと思っています。
enmono三木氏 会社員をやりながら起業するというやり方を、企業側に提案されているそうですが、反応はどうですか?
赤木氏 反応は良いです。ニーズはあると感じています。まず、事業創造というキーワードでお話すると、こちらのグラフの横軸がイノベーションステージです。
赤木氏 何もない状況が0です。いろんな定義があるんですけれど、1はビジネスモデルができたタイミング。10はマーケットインして黒字化できているレベルです。更にビッグビジネスにして100にしていきます。
大手企業が高度経済成長期から今までやってきたのは持続的イノベーションで、コアとなる商品に新機能を付加して新製品として投入するイノベーションでした。この持続的イノベーションは、図で言うと10から100に向かう形です。しかし今、多くの企業で必要とされているイノベーションは、既存事業とは異なる第2第3の柱を作る非連続(破壊的)イノベーションと呼ばれるもので、0から立ち上げる形です。
社内ベンチャー制度とかビジネスコンテストなどさまざまな取り組みが既に多くの企業で導入されていますが、この取り組みで0から1まではできるようになってきています。しかし、非連続(破壊的)イノベーションが多くの企業で上手くいかないのは、実は1から10までの間が一番難しいからなのです。会社のシステムが今までやってきた持続的イノベーションに最適化されているので、この「死の谷」を乗り越えられない。
人事評価制度も、稟議システムもそうです。僕は「高度にガラパゴス化している」と言っているんですけれど、日本人は真面目で優秀なので、そのシステムが会社の細部にまで密接していて一部を変えても変えられない。そもそも、社内でやるのは無理なんだというのがあって、チーム・ゼロイチでは「死の谷」の部分を社外でやることを提唱しているんです。実績ができて持続的イノベーションに最適化した社内システムに対応できるようになってきたら、社内に戻すことで暫定的に非連続(破壊的)イノベーションを企業でも実現させようという試みです。
enmono三木氏 社内に戻ると、やる気がなくなったり、先祖返りしませんか?
赤木氏 大いにあると考えています。ですので、その会社の代表が理解をし、会社を巻き込みながらやらなければならないと思っています。会社に評価されなければ、趣味で終わってしまいます。「忙しい」と言ってやらなくなってしまう。会社員は、社内評価を見ているんですよ。人事評価、自分の給料を見ているんです。ですからチーム・ゼロイチは社員教育という文脈で、社外でやったことの成果が会社に戻り、失敗しながらでもトライしたことが会社から評価される新しい人事評価制度を作ろうとしています。
enmono三木氏 例えば、ボーナスが増えるとか。それはいいですね。
赤木氏 事業創造スキルを測れる人事評価制度があり、会社が採用すれば、会社としては給与に反映できます。TOEICは、ここ数年で非常に注目されるようになりました。これまで日本の企業は国内市場がターゲットだったので、ビジネスで英語を使う必要性がなかったんですが、圧倒的なグローバル市場の中で、海外に出ていかなければいけない状況になったからです。
それで、企業はビジネス英会話のスキルを測るTOEICを利用して、社内の誰をアサインしたらいいかという判断指標を作ろうとしています。今後、既存の事業がどんどん縮小していけば、新しい事業を作らなくてはならなくなる。そのような時、チーム・ゼロイチの研修や制度を大手企業に採用してもらえたら最高ですね。
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