【第2話】初心者でも大丈夫、3Dモデリングに挑戦してみよう!!:3Dプリンタでデジタルモノづくりをはじめよう(2)(1/7 ページ)
中野ブロードウェイにある「あッ 3Dプリンター屋だッ!!」のN店長と大学生Y君との交流を通じて、パーソナル3Dプリンタを使いこなすためのハウツーを解説する連載。今回は「Autodesk 123D Design」を使って3Dモデリングに挑戦する!
前回までのあらすじ
最近、話題の「3Dプリンタ」ですが、まだまだ誰でも気軽に触れられる環境は整っていません。そんな中、サブカルの聖地“中野ブロードウェイ”の地下1階にある「あッ 3Dプリンター屋だッ!!」では、世界各国のパーソナル3Dプリンタをずらりと並べ、行き交う人たちに開放しています。そんなウワサを聞き付けた好奇心旺盛な大学生のY君は思い切ってお店を訪問し、N店長から3Dプリンタの基礎を教えてもらいました(>>前回の記事を読む)。
本連載「3Dプリンタでデジタルモノづくりをはじめよう」では、N店長とY君の会話を通じて、実際に3Dプリンタで作品を出力するまでの流れを紹介していきます。第2回では、3D CAD「Autodesk 123D Design」を使って3Dモデリングを行い、3Dプリントするのに必要な3Dデータを作成します。
「テトラポッド」を作ってみよう!
よ〜し! 3Dモデリングするぞ!!
随分と気合入ってるね!
もちろんですよ!! 早く3Dプリンタを動かしたくてウズウズしてるんですから。ところで、N店長。さっきから気になっていたんですが、これ何ですか!?(図1)
ああ、これはうちのお店を手伝ってくれているインターン生たちの中で最近流行っている「テトラポッド(消波ブロック)」だよ。
テ、テトラポッド!? 海岸とかにあるあのコンクリートのやつですよね。へぇー。こうやって眺めてみると確かに面白いカタチしてますよね。
練習にはちょうどいいかもね。じゃあ、今回はテトラポッドをモデリングしてみようか!
はいっ!
「あッ 3Dプリンター屋だッ!!」にはアンテナの高い個性的なインターン生がたくさん3Dプリンタを勉強しに来ています。その中の1人、大学で海洋建築を勉強しているTさんはテトラポッド好きが高じて、全部で93種類あるテトラポッドを3Dモデリングすることを目標に、日々モデリングの勉強に明け暮れています。ちなみに、Tさんが最初にお店に来たころは、PCの操作もあまり得意ではなかったのですが、今では3D CADでスムーズにモデリングできるようになりました。
目的のカタチを「モデリング脳」で捉える
N店長、3Dモデリングする際のポイントってあるんですか?
おっ、良い質問だね〜。じゃあ、このお店の共同経営者であるストーンスープ CEOの浦元淳也さんが常々言っている「モデリング脳」について教えてあげよう!
な、なんですかそれは!?
3Dモデリングする際は、作成したいカタチやその形状の組み立て方をあらかじめ考えておくことが重要なんだ。つまり、どんなカタチ(立体)を作成して、その形状同士をどんな順番で組み立てて目的のカタチにしていくのか、その構成や手順を頭でイメージすることをモデリング脳と言っているんだよ。
モデリング脳は、ダッソーシステムズのハイエンド3D CAD「CATIA」使いで、CATIAのモデリングコンテストの世界大会で優勝経験のある浦元さん直伝の考え方です。3Dモデリングを始める際、いきなり3D CADで形状を作り始めてしまうと、途中でどこをどうすれば自分のイメージするカタチにできるのか、混乱して時間ばかり掛かってしまいます。特に、初心者の方の多くは、難しい形状(最終的なカタチ)を難しい形状のまま作りがちですが、3Dモデリングを始める前に、最終的なカタチをよくイメージし、難しい形状を簡単な基本形状のレベルにまで分解するように心掛けましょう。円柱や立方体といった基本形状のレベルにまで落とし込むことができれば、後は基本形状に落とし込んだもの同士をどのような順番で組み立てていけばよいかを考えるだけです。
そしてもう1つポイントがあります。3Dモデリングの基本は2次元の輪郭(スケッチ)を基本とし、それを押し出して立体化する(厚みを付ける)ということです。こうしてできた立体同士や基本形状を、付けたり(足し算)、取ったり(引き算)することで全体的なカタチを作っていきます。そして、足し算、引き算で出来上がった形状の角に、R(丸み)を付けたり、面取りをしたりして全体のドレスアップを行えばきれいに仕上げることができます。
3Dモデリングというと、3D CADを使いこなすスキルを学ぼうとしがちですが、基本形状にバラす力とそれを組み立てる力を訓練する方が上達の近道といえます。
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