新型「レジェンド」はFF車ベースだから最高の四駆ハイブリッドセダンになった:エコカー技術(3/5 ページ)
ホンダの新型「レジェンド」は、エンジンルームに横置きのV型6気筒直噴エンジンとモーター内蔵の7速DCT、車両後部に2個のモーターを搭載する、3モーターのハイブリッドシステム「SPORT HYBRID SH-AWD」を採用した四輪駆動対応のハイブリッドセダンである。SH-AWDによって自在なトルクベクタリングを実現した新型レジェンドは、ホンダが得意とするFF車ベースでなければ実現できなかったという。
TMUを用いた自在なトルクベクタリング
SH-AWDが、四輪駆動システムとして高い機能を発揮できるのは、TMUに搭載された左右2個のモーターを加速と減速の両方で利用できることによる、自在なトルクベクタリング(駆動力配分)に由来している。例えば、コーナリングを始める旋回減速(ターンイン)時には左右両方の後輪を減速側に制御する。内側の減速トルクを外側より大きくすれば内向きのヨーモーメントが発生し、ブレーキングしながらのターンインでも優れた回頭性を実現できる。旋回時(コーナリング中期)は、外側に加速トルク、内側に減速トルクを加えることで大きな内向きのヨーモーメントを発生させられる。旋回加速(コーナー脱出)時であれば、内側と外側両方の後輪に加速トルクを加えて、力強い立ち上がり加速が可能になる。
SH-AWDは、左右のモーターのトルクを加速と減速で自在に制御することで、さまざまな場面で「レールの上を走っているかのような操縦安定性」(ホンダ)を実現できるわけだ。これに対して4代目レジェンドの四輪駆動システムは、エンジントルクをプロペラシャフトを介して後輪に配分するので、加速トルクしか得られない。このため、旋回加速時にしかトルクベクタリングを行えなかった。
さらに、時速125km以上の高速域で動作するプラネタリー減速機構のリングギアを固定/解除するブレーキにより、時速0kmから最高速まで全速度域でトルクベクタリングが可能になるとしている。
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