いまさら聞けない ORiN入門:産業用ネットワーク技術解説(2/3 ページ)
スマートファクトリーやインダストリー4.0など「つながる工場」を実現するカギとも見られる、工場情報システム用ミドルウェア「ORiN(オライン)」をご存じだろうか。なぜ今ORiNが注目を集めているのか。誕生の背景や活用シーン、技術の概要などを紹介する。
ORiNの技術原理
ORiNは、アプリケーションに対して、ロボットを含むFA機器にアクセスするためのインタフェースである。インタフェースは、アプリケーション向けとデバイス(ロボットを含むFA機器)向けの2つ(アプリケーション向け:エンジン、デバイス向け:プロバイダー)を提供している。
- エンジンは、標準プログラムインタフェースと共通の機能を持ち、各デバイスの違いを意識することのないアプリケーション開発環境を提供する
- プロバイダーは、各種FA機器とパソコンを接続する通信インタフェースを持ち、機器ごとに異なる通信仕様の差異を吸収することで、上位アプリケーションに統一的なアクセス手段を提供する
これらにより、FA機器メーカーはクライアントアプリケーションに依存せずにデバイスが持つ機能を公開することが可能となる。一方、アプリケーションベンダーは、各種FA機器に依存しないでクライアントアプリケーションを開発することができる。
また、分散オブジェクト技術に米国マイクロソフト(Microsoft)のDCOM(Distributed Compnent Object Model)を実装しており、各種FA機器をネットワーク上の自由な場所への配置が可能となる。さらに、OLE(Object Linking and Embedding)に対応したさまざまな汎用言語(C#,C++,Visual Basic,LabVIEW,Javaなど)の開発ツールから呼び出すことが可能で、ユーザーが開発言語・開発環境を自由に選択できる。
ORiNの活用場面
現在では、多くのユーザー企業が、ORiNを活用したパソコン制御を採用している。ロボットを含むFA機器を抽象化し、汎用言語で全ての制御を行うことで、制御プログラム開発期間を大幅に短縮することが可能であるからだ。
また、監視系システムにおいても、工場情報システムの開発および導入検証を進め、生産ラインの機器内に収められた情報を収集・分析することで、ラインの現状をリアルタイムで把握したり、Web経由でライン状況を監視したりすることができる。実際に、生産ライン全体の生産性や品質の向上・業務効率化・故障の予知/予防に大きな成果を上げたケースも見られている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.