3Dプリンタを活用した鯖江の眼鏡づくり技術が“個人情報を守る眼鏡”の研究に貢献:3Dプリンタニュース
アルテックは、前澤金型(福井県鯖江市)と国立情報学研究所 越前研究室が合同研究を行っている「プライバシーバイザー」の開発に、米Stratasys製の3Dプリンタ「Objet30 Pro」が活用されたことを発表した。
アルテックは2014年10月23日、前澤金型(福井県鯖江市)と国立情報学研究所(以下、NII) 越前研究室が合同研究を行っている「プライバシーバイザー」の開発に、同社が国内販売を行っている米Stratasys(ストラタシス)製3Dプリンタ「Objet30 Pro」が活用されたことを発表した。
近年、Facebook、TwitterなどのSNSや画像検索技術の発展・向上により、盗撮(本人に無断で撮影)や意図しないカメラへの写り込みによるプライバシーの侵害が問題となっている。
こうした問題に対し、NII教授の越前功氏は人と人とのコミュニケーションを阻害することなく、カメラへの写り込みによるプライバシー侵害を“被撮影者側”から防止する技術として、プライバシーバイザーの研究開発を進めてきた。
2012年に発表した段階では、人間の視覚とカメラの撮像デバイスの分光感度特性の違いを利用してカメラによる顔検出を失敗させることを目的に、11個の近赤外LEDを搭載したゴーグル形状のデバイスを開発。今後の検討課題として、電源不要で、装着した際に見た目の違和感が少ないプライバシーバイザーの実現を掲げていた(関連記事:デジカメの顔検出を“無効化”するゴーグル「プライバシーバイザー」)。
そんな中、越前氏は、前澤金型が最大8種類の異なるマテリアルに対応したPolyJet方式のデスクトップ3Dプリンタ(Objet30 Pro)を活用して、眼鏡部品の試作を行っていることを知り、合同研究という形で開発が進められることとなった。越前氏が考案するプライバシーバイザーのフレームは、市販品にはない特殊な形状であるため、前澤金型が長年培ってきた眼鏡づくりの知見と、任意の形状を素早く高精度で試作できるObjet30 Proの性能が必要不可欠だったという。
合同研究による開発成果は良好で、従来のプロトタイプよりも顔検出の妨害効果が高く、「短期間にプライバシーバイザーの基本構造設計が確立された」(越前氏)とのことだ。ちなみに、同年10月25日から鯖江市で開催される「さばえものづくり博覧会」に前澤金型が出展し、同研究の成果発表や3Dプリンタによる実演加工のデモなどを行う予定だという。
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国立情報学研究所(NII)の越前功准教授と工学院大学の合志清一教授は共同で、カメラの写り込みによるプライバシーの侵害を、被撮影者側から防止する技術を発表した。人間の視覚とカメラの撮像デバイスの分光感度特性の違いを利用したもの。今回、11個の近赤外LEDを搭載した「プライバシーバイザー」を開発した。