革新的な製品を作り続ける――パナソニック出身者が立ち上げた家電ベンチャーの新戦略:モノづくり×ベンチャー インタビュー(1)(2/4 ページ)
家電やロボット、自動車などさまざまなモノづくりの分野でベンチャー企業が躍進している。2007年創業のCerevo(セレボ)もその1つだ。インターネットと連動するさまざまな家電の開発によって注目を集める同社社長の岩佐琢磨氏にインタビューした。
ニッチな市場でグローバルに展開
MONOist Cerevoの戦略/ビジネスモデルとして、極めてニッチな製品をグローバル市場で販売するという方針を掲げていますね。その戦略の詳細について教えてください。
岩佐氏 「ニッチな製品」という部分については、「CEREVO LIVEBOX」というCEREVO CAMからレンズや液晶ディスプレイ、バッテリーまでを外した製品を開発しました。完全に用途を固定したとてもニッチな製品であり、価格もCEREVO CAMの2.5倍なんですが、市場からの反応はとても良かった。こういう用途を限定したニッチな製品で、市場をゼロから1にするというのは面白いなと思ったんです。
また、2012年の春に「LiveShell」という製品を発売しました。それまでは、「いつかグローバル展開するために、まずは国内市場から」と考えていたんですが、LiveShellの初代を海外で販売してみたんです。想定していたよりも好調な売れ行きで、欧州からも問い合わせが来ました。プロモーション費用を掛けず、製品企画だけでこれだけ世界で売れるというという経験はとても大きな収穫でした。それ以降、国内市場ではなく、グローバル展開にフォーカスしています。
MONOist ニッチ製品をグローバル展開する「グローバルニッチ」という戦略は、創業当時から考えにありましたか。
岩佐氏 創業した当時から考えていたものではありませんね。そういう戦略にしていこうと考え始めたのはここ数年です。当初は、先ほどお話したGoProのような製品展開を考えていたんです。でも、GoProのように強いブランドを作って1つの大きな市場を作るという戦略だと、新しく参入してくるプレーヤーの数も増えますよね。そうなってくると、広告費や研究開発費に大きくリソースを投入する必要が出てきて、次第に利益率は減ってしまいます。
Cerevoを起業した理由に「0から1を作りたい」というのがありました。だからGoProのように1つの市場を作ってから、後は80を100に伸ばす戦いをするというのは精神的にも厳しいし、それはCerevoのカラーでは無くなってしまう。ニッチな製品でもグローバルに売るというのが可能だということはこれまでの経験で分かったので、後は製品のジャンルを増やしていこうというのが今後の方針です。
複数のジャンルで製品を開発していれば、そのうちの1つの製品で利益を上げることが難しくなったら撤退するという選択ができますよね。それは守りに入るということではなく、“尖った”製品を持続的に作り続けるための判断です。そのためには人材も必要です。現在約15人くらいで運営しているのですが、現在採用を進めていて、2014年内には30人を超える予定です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.