【第1話】「あッ 3Dプリンター屋だッ!!」との出会い:3Dプリンタでデジタルモノづくりをはじめよう(1)(2/4 ページ)
「自分でも3Dプリンタを使えるようになりたい!」と願うY君と、中野ブロードウェイにある「あッ 3Dプリンター屋だッ!!」のN店長との交流を通じ、パーソナル3Dプリンタを使いこなすためのハウツーを解説する連載。Y君とN店長の出会いから物語はスタートします。
パーソナル3Dプリンタについて知る
3Dプリンタと一言でいっても出力方式や使える材料にも違いがあり、種類がたくさんあります。実際、製造業などで使われている非常に高価な装置から数万円で購入できる個人向けの安価なものまでさまざまです。
また、自動車と同じようにメーカーが異なれば、使い心地(乗り心地)が変わってきます。あッ 3Dプリンター屋だッ!! の店頭に置いてあるのは、比較的安価なパーソナル(個人向け)3Dプリンタで、メーカーや機能が異なる7種類以上の機種が設置されています(図7)。
各社各様で、見た目や大きさも違いますし、3Dデータ編集ソフト(スライスソフト)や操作方法も異なります。こうした違いは、実際に触ってみないと分からないことばかりなので、特に購入まで考えているような方は、実機を「見て」「触れて」「動かす」というのが大切ですね。そういう意味でも、あッ 3Dプリンター屋だッ!! のような存在は3Dプリンタに興味を持っている方々にとって貴重だと思います。
このお店には、パーソナル3Dプリンタの中で「熱溶解積層法(FDM方式:Fused Deposition Modeling)」の機種が置いてあります(図8)。3Dプリンタの代表的な出力方式にはFDMの他、光造形法(Stereo Lithography Apparatus)、粉末焼結積層造形法(Selective Laser Sintering)、インクジェット方式(PolyJet方式)などがあります。詳しくは、「いまさら聞けない 3Dプリンタ入門」をご覧ください。
FDM方式の3Dプリンタで使える材料は、主にABS樹脂とPLA(ポリ乳酸)の2種類です。ABS樹脂という素材は、われわれの身近にあるプラスチック素材の最もポピュラーなものの1つです。一方、PLAという材料もプラスチックの一部ですが、こちらは植物由来のバイオプラスチックになります。
さらに最近では、材料の開発も積極的に行われています。例えば、柔らかいゴム質のような素材や軽い木材のような素材も出てきています。図9は、左からゴム素材(Polymaker社のPolyFlex)、PLA、ABS樹脂を使った出力例です。
なるほど、ここにあるのは、FDM方式を採用したパーソナル3Dプリンタなんですね。早く、自分で動かして、3Dプリントしてみたいな〜。
出力したいモノの3Dデータがあればすぐにでも試せるけど? Y君、持ってきてるの?
えっ!? 3Dデータですか……。も、持ってきてないですよ。というか、3Dデータの作り方もいまいち分からないんです。学校の授業でCADは少しだけ触ったことがありますが……。こんなんで、大丈夫ですかね(汗)。
……うーん。ちょっと大変かもしれないけど3Dデータ作りもこの際だから教えるよ! 何となくは分かっていたと思うんだけど、3Dプリントするには3Dデータが必要なんだ。3Dデータは、3D CADやCGソフトなどでモデリング(3D形状を作成)するか、3Dスキャナーなどで取り込んだデータを活用する方法があるんだよ。今回は、せっかくだから3D CADを用いたモデリングについて勉強してみようか。
はい!!
ところでY君、今日はノートPCを持ってるかな?
もちろんです!! 最近買ったばかりなんで毎日持ち歩いて自慢してるんですよー。
それはよかった。じゃあ、今回は無料の3D CADソフトをインストールしようか。最近の無料ソフトはよくできているから、ある程度のことはやれると思うよ。
本当だ。ググってみるといろんな種類の無料3D CADソフトがあるんですね。
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