お掃除ロボ競争激化、米Neato RoboticsがSLAM搭載ロボ掃除機で日本参入:ルンバに挑む
米Neato Roboticsが掃除機ロボットで日本市場に参入する。搭載するセンサーでマッピングと自己位置推定を行うSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術で効率的に掃除し、競争力ある価格で勝負する。
米Neato Roboticsの日本法人であるネイト ロボティクスは2014年9月26日、ロボット掃除機「Botvac 75」「Botvac 85」を同年10月4日より販売開始すると発表した。価格はスタンダードタイプのBotvac 75が5万9800円、ペットの抜け毛などの吸引に適した二重ブラシを備えたBotvac 85が6万4800円(いずれも税別)。ビックカメラおよびコジマにて販売する。
Neato Roboticsは2005年に創業、2010年より家庭用ロボットを販売している。日本国内市場への参入第1弾製品となるBotvac 75/85はiRobot「ルンバ」シリーズやダイソン「360 Eye」と同カテゴリになる製品だが、米Neato Robotics会長兼CEOのジャコモ・マリーニ氏はレーザー光を使用したSLAM(Simultaneous Localization and Mapping:センサーなどを用い、周辺環境の地図作成と自己位置推定を同時に行う技術)の精度と、価格帯設定で競合との差別化を図る意向だ。
ロボット掃除機が室内を掃除する際、どのよう動いて掃除するかは大まかに分けて2つの方法に分類される。「ランダムナビゲーション」は、ランダムな動きで部屋を動き回り、壁にぶつかる(近づく)と方向転換していく方法。もう1つの「システムナビゲーション」は部屋を順次走査していくために無駄がないが、周辺環境と自己位置推定の仕組みを用意する必要があるために低価格の製品展開が難しい。
Botvac 75/85が採用する方法はシステムナビゲーションで、レーザー光を1秒間に1800回照射して360度の周辺環境を走査、室内形状や家具のレイアウトを把握しながら規則性のある直線的なパターンでクリーニングを行う。マッピングした室内データは保管されず、ゴミを掃除できたかを検出するセンサーも搭載しないが、マップを基に掃除していない場所がないかをチェックするアルゴリズムを備えているという。
レーザー投射口は本体上部に位置しているため(本体全高は10cm)、レーザーでは全高より小さな障害物を検知できないが、ランダムナビゲーション採用製品に比べ、同面積ならば、最高で約1/4の時間にてクリーニングが完了するとしている。また、バッテリーが切れると自動的に充電台へ戻り、充電終了後に再開する機能も用意されており、最大稼働面積は126畳にも及ぶ。
ダイソンの発表したロボット掃除機「ダイソン 360 Eyeロボット掃除機」もシステムナビゲーションを採用するが、センサーとしてはカメラ(映像)を利用する。ネイト ロボティクスのBotvac 75/85はレーザー光を利用するが、その理由についてマリーニ氏は「主にコスト面を考慮してのことだ」と説明する。
本体形状は同種製品に多く採用される円盤形ではなく、上面から見るとアルファベットの「D」によく似た形状を採用する。吸い込み口を本体中央ではなく、「D」の直線部分に配置することで壁際まで取りこぼしのない掃除が行える。前面にはバンパー、側面には対物センサーを搭載しており、壁際まで最大1cmまで接近しての掃除を自動的に行う。
マリーニ氏は「高価格帯掃除機(200ドル以上)のなかでロボット掃除機は20%に迫るシェアを獲得しており、2013年の段階で既にロボット掃除機は12.5億ドルの市場を形成している。市場についてはさらなる成長が期待できる」と述べ、加えて、ネイト ロボティクス 代表取締役のポラード由貴子氏は「日本のロボット掃除機市場で3年以内にシェアトップ3を目指す」と目標を語った。
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