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新型「デミオ」の小排気量クリーンディーゼル「SKYACTIV-D 1.5」の可能性エコカー技術(3/4 ページ)

マツダの小型車「デミオ」の新モデルはクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 1.5」を搭載している。排気量1.5l(リットル)という小排気量でありながら、排気量2.2lの「SKYACTIV-D 2.2」と同じ特性を実現するため、同社はさまざまな工夫を盛り込んだ。

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可変ジオメトリーターボで2ステージターボを代替

 クリーンディーゼルエンジンでは、トルク性能を向上するために過給器を搭載するのが一般的だ。SKYACTIV-D 2.2では、大小2つのターボチャージャーを用いる「2ステージターボ」により、エンジンの低回転域での高いトルクと応答性、高回転域での高い出力を実現している。

 しかしより小型になるSKYACTIV-D 1.5では、2ステージターボのような大規模なシステムは採用しづらい。そこで新たに採用されたのが、1個のターボチャージャーで広い回転域をカバーする「可変ジオメトリーシングルターボ」だ。必要とされる過給量だけを考えると、排気量1.5lのSKYACTIV-D 1.5は、2ステージターボの小ターボチャージャーよりも少なくて済む。しかし、低回転から高回転まで広い回転域をカバーするには工夫が必要だ。それが、ノズル開度を制御してターボの回転数を最適化できる可変ジオメトリー(VG)機構である。

「SKYACTIV-D 1.5」の「可変ジオメトリーシングルターボ」と「SKYACTIV-D 2.2」の「2ステージターボ」の比較(クリックで拡大) 出典:マツダ

 また過給器との関連性が深いEGRシステムでも大幅な変更を行った。SKYACTIV-D 2.2では、EGRシステムで再循環する排気をターボチャージャーより前の部分からとる高圧EGRを採用している。排気量1.5lのSKYACTIV-D 1.5で、排気量2.2lのSKYACTIV-D 2.2と同等の加速応答性能を得ようとすると、EGRの供給量も高いレベルで確保しなければならない。しかし高圧EGRだけでEGRの供給量を確保しようとすると、排気量の少なさが影響してターボの過給圧も下がってしまうのだ。この問題を解決すべく追加したのが、ターボの過給圧に影響を与えない、ターボチャージャーより後ろ側となるDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)以降の排気を再循環する低圧EGRである。この高圧EGRと低圧EGRの併用によって、SKYACTIV-D 2.2と同レベルの加速応答性能を実現できた。

EGRシステムの比較
EGRシステムの比較(クリックで拡大) 出典:マツダ

 SKYACTIV-D 1.5では、ターボチャージャーによって過給した空気を冷却するインタークーラーの変更も必要になった。SKYACTIV-D 2.2では空冷のインタークーラーを使用しているが、SKYACTIV-D 1.5を適用する小型車の場合、長い配管や大きな冷却器は搭載が難しい。そこでインタークーラーを水冷にするとともに、インテークマニホールドに内蔵した。配管も短くなるので、ターボの応答性も向上できるという。

インタークーラーの比較
インタークーラーの比較(クリックで拡大) 出典:マツダ

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