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「コンボ」のプロトコルと充電シーケンスEV用充電器の通信規格ISO/IEC 15118とは(後編)(2/4 ページ)

欧州や北米の自動車メーカーが採用を進めている電気自動車(EV)用充電規格である「コンボ」。その通信プロトコルはISO/IEC 15118として国際標準になっている。前編で取り上げたISO/IEC 15118の概要や規格策定状況に引き続き、今回の後編では、ISO/IEC 15118のプロトコルと充電シーケンスについて解説する。

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充電シーケンスの概要

 ここからは、充電シーケンスがどのようなやりとりで進められるかについて説明しましょう。

ハイレベル通信の開始

 充電シーケンスは、車両(EV)側が要求(リクエスト)を送信し、充電スポット(EVSE)が応答(レスポンス)を返す形式で通信します。充電接続方式の規格であるIEC 61851-1のAnnex.Aで規定された通りステートBの状態になり、かつ充電スポット側がPWM信号を周波数1kHz/デューティ比を5%にした場合、ハイレベル通信が許可されてISO/IEC 15118の通信を開始します(手順①)。外部認証方式(EIM:External Identification Means)による、DC充電(いわゆる急速充電)の通信シーケンスの例を以下に簡単に説明します(一部割愛している部分もありますのでご承知おきください)。

通信のセットアップ(手順②、③、④、⑤)

 ハイレベル通信が許可されデータリンクが確立した後(手順②)、V2G通信のセットアップ処理を行います。

 まず初めに車両は充電スポット側のIPアドレスを取得するために、充電スポット発見要求を送信します(手順③)。そして、TCPまたはTLSコネクションを確立した後、車両から対応しているISO/IEC 15118の充電プロトコルやバージョンなどを通知し、充電スポットが使用するプロトコルを応答します(手順④)。その後、V2Gセッション開始要求を送信し、充電スポットが応答を返してV2Gセッションを確立します(手順⑤)。

ハイレベル通信の開始と通信セットアップ
ハイレベル通信の開始と通信セットアップ(クリックで拡大)

サービスと課金方法の確認と選択、承認状況の確認(手順⑥、⑦、⑧)

 V2Gセッションを確立した後、充電スポットが提供するサービスの確認と課金方法の選択、承認状況の確認を行います。

 まず初めに、車両は充電スポットが提供するサービスを確認します(手順⑥)。ISO/IEC 15118で規定されているサービスのカテゴリーは、「EV充電」と「契約証明書の導入と更新」、「インターネットアクセス」、「その他のカスタムサービス」です。将来的に機能を拡張して付加価値サービスを提供できるように、充電以外のサービスもカテゴリーとして定義されています。EV充電サービスの場合、対応する充電方式(AC単相/AC三相/DC)や支払い方法を充電スポットから車両に通知します。

 それらの情報を受けて、車両は課金方式(EIMまたはPnC:Plug and Charge)と、利用するサービスを充電スポットに通知します(手順⑦)。さらにPnCを選択した場合、車両は電力契約情報などの詳細な情報を充電スポットに通知する必要があります。

 課金方法の選択後、車両は充電スポットに充電の承認を得ることになります(手順⑧)。EIMの場合、ここで車両の使用者などが充電スポットで現金やクレジットカードなどを用いて決済する手段を提示し、承認を得ることを想定しています。またPnCの場合、充電スポットが車両から提供された契約情報を使用して外部のサーバなどに有効な契約であることを確認します。

 充電が承認されると、最適な充電パラメータとスケジュールを決めるシーケンスに移ります。

サービスと課金方法の確認と選択、承認状況の確認
サービスと課金方法の確認と選択、承認状況の確認(クリックで拡大)

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