オムロンの新型基板外観検査装置、2つの画像処理技術でフル3D検査を実現:実装ニュース
オムロンは、基板外観検査装置「VT-Sシリーズ」の最上位機種として、同社独自のカラーハイライト3D形状復元技術に加え、位相シフト検査技術も搭載した「VT-S730」を発売した。
オムロンは2014年8月22日、プリント基板に実装された部品のはんだ付け状態を画像処理技術を用いて検査する基板外観検査装置「VT-Sシリーズ」の最上位機種として、同社独自のカラーハイライト3D形状復元技術に加え、位相シフト検査技術も搭載した「VT-S730」を発売した。価格はオープンで、市場想定価格は公開していない。
調査会社の富士経済によると、オムロンは基板外観検査装置市場で世界トップシェアだという。同社は、今回の新製品を含めて基板外観検査装置事業全体で年間100億円の売上高達成を目指すとしている。
VT-S730は、自動車業界をはじめ高品質で小型・軽量な部品が求められるモノづくりの現場からの品質管理へのさらなる要求に応えるべく開発された。VT-Sシリーズは、はんだの様な鏡面体を安定して検査する上で最適な検査原理であり、はんだ付けの品質の基準となるフィレットの高さ/幅/長さを定量的に捉えられるカラーハイライト3D形状復元技術を搭載している。VT-S730は、これに加えて、部品本体やリード(部品の電極)の位置検出に適した位相シフト検査技術を新たに採用。2つの画像処理技術を組み合わせることで、はんだ形状の復元精度を向上させるとともに、部品の姿勢(浮き、傾きなど)に特徴が現れる不良の検出が容易になったという。オムロンは、2つの画像処理技術を適用できることから、VT-S730を“フル3D”基板外観検査装置と呼んでいる。
この他、品質の管理や分析を行う上で定評のある品質管理システム「Q-up Navi」も提供。不良品の発生を未然に防ぐための工程改善や仕組みの構築にも貢献できるとしている。
主な仕様は以下の通り。外形寸法は幅100×奥行き1470×高さ1500mmで、重量は約800kg。電源定格はAC200〜240V(単層)で、変動範囲は±10%。ライン高さは900±20mmで、使用空気圧は0.3〜0.6MPaとなっている。
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