脳波で家電を操作、ALS患者向けのソフトウェア:センシング技術(2/2 ページ)
フィリップスとアクセンチュアが、脳波で家電を操作するソフトウェアを開発した。脳波測定機器とタブレット端末、ウェアラブルディスプレイを接続し、照明やテレビの操作や、メールの送信などを行う。筋肉の萎縮などが起きるALS(筋萎縮性側索硬化症)患者など、身体にまひを持つ患者が暮らしやすい環境の実現を目指す。
Google Glassも使える
今回コンセプト実証を行ったシステムでは、タブレット端末を中心に、インプット側にEmotiv Insight Brainwareが、アウトプット側にテレビや照明、メールなどコントロールしたい物と、ウェアラブルディスプレイが配置される。ウェアラブルディスプレイとして「Google Glass」なども使用できる。
Accentureが米国カリフォルニア州サンノゼに置く技術研究所で、ウェアラブルディスプレイの研究開発を率いるBrent Blum氏は、EE Timesに対し、「われわれの目標は、運動機能を失った患者が(機器などを)操作し、患者がより自立して生活できるようにすることだった。当初、このアイデアは突飛なもののように思われたが、時を重ねるうちにその可能性が極めて現実的であることや、自立した生活を取り戻す機会となり得ることが分かってきた。患者は、照明をつける、消す、テレビをつける、チャンネルを変える、メールを送るといった当たり前のことを再びできるようになり、かつて送っていたような生活を取り戻せる可能性がある」と述べている。
今回の研究では、Accentureはシステムインテグレーターとして、低遅延で広帯域なシステムを土台から作り上げた。このシステムでは、新しい機能をモジュール式に追加できるようになっている。例えば、患者が「心臓発作を起こしている」と感じた時に救急に電話するユニットなどがある。Accentureは、全てのユニットを将来的に医療・民生の両方の用途に向けて容易に改良、拡張できる形に統合したという。
PhilipsでPatient Care and Monitoring Solutionsのバイスプレジデント兼CMO(Chief Marketing Officer)を務めるAnthony Jones氏は、EE Timesに対し、「当社としては、こうしたシステムで何ができるかを示すよい機会となった。それが、コンセプト実証の成功につながった」と述べ、「患者の動きで制御するシステムは他にもあり、当社も患者の声や目の動きを利用するシステムを提供できる。だが、今回のシステムは脳波のみを利用するという点に独自性がある」と付け加えた。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- “気になる瞬間”を自動で記録、脳波センサーと連動するウェアラブルカメラ
カメラと脳波センサーを連携し、「気になるもの」「興味があるもの」を自動で撮影する――。脳波を利用したアプリケーションの開発を手掛ける電通サイエンスジャムが、そんなデモを披露した。 - 脳波の利用が進むヘルスケア分野、総合医療展でも高い注目度
ストレスの解消や、メンタルヘルスの診断など、ヘルスケア分野で脳波の活用が広がっている。東京ビッグサイトで開催中の総合医療展「IMEC 2014」でも、脳波を利用したヘルスケア製品に注目が集まっていた。 - ウェアラブル機器やIoTが生活を変え、5Gや微細化技術が世界を驚かす
2014年は、どんな技術革新が世界を驚かせるのだろうか? ウェアラブル機器、IoT、5Gなど「2014年に注目すべき10の技術」を紹介する。