モノとインターネットがつながる、IoTと応用分野に向けた最先端技術:ETWest2014(1/2 ページ)
西日本唯一の組み込み総合技術展「Embedded Technology West 2014(ETWest)」が2014年7月29日〜30日の2日間、開催された。“ヒトとモノ”“モノとモノ”がつながる時代から、“モノとインターネット”がつながる時代へ。そのための技術と応用例の展示が目立った。
2014年7月29〜30日の2日間、西日本唯一の組み込み総合技術展「Embedded Technology West 2014(以下、ETWest2014)」が開催された(主催:組込みシステム技術協会)。“ヒトとモノ”、“モノとモノ”がつながる時代から、“モノとインターネット”がつながる時代へ。そのための技術と応用例の展示が目立った。
今回で9回目を迎えたETWest2014には107社が出展し、うち29社が新規出展企業であった。会場を南港のインテックス大阪から梅田の「グランフロント大阪」内のコングレコンベンションセンターに移した。アクセスの良さが影響したのか、2日間の来場者総数は過去最高の6132人(主催者公式発表)となった。
あらゆる産業の最先端機器を支えているのが組み込みシステム技術だ。わずか数年の間で、民生・産業用を問わずさまざまな製品分野へと新たな用途や可能性を拡大している。会場では、ハードウェア・ソリューション、ソフトウェア・ソリューション、開発環境・ツール、インテグレーション/デザインサービス/関連企業・団体が最新技術を展示した。本稿では、ETWest2014会場で筆者が注目したブースを中心に紹介する。
モノとインターネットがつながる未来
組み込み業界で欠かせないキーワードとなっている「M2M(Machine to Machine)」から、注目はあらゆるモノがインターネットに接続される「IoT(Internet of Things:モノのインターネット化)」へと広がっている。
2013年に親指のツメ程度という超小型のアンテナ付き無線モジュール「TWE-Lite DIP」を発表した東京コスモス電機(TOCOS)が、ユーザーの要望を受けてラインアップを充実させた。TWE-Lite DIPは超小型モジュールTWE-Liteを2.54mmピッチ28ピンDIP型ICの形状にしたもので、コイン型電池で駆動する。マッチ棒型アンテナがかわいらしい。
TWE-Lite DIPは多くのメディアに取り上げられるなど注目を集め、「多くのユーザーにご購入いただいた」(説明員)そうだ。ユーザーから「アンテナを立てるとスペースを取る」「感度の高いものがほしい」という要望があり、シリーズを充実させた。
アンテナを基板にプリントした「Type PCB」は、コンパクトな設計に向く。アンテナの方向が合っていないと通信性能が劣化するため、基板上にアンテナ形状のイラストを描いた。半立体のマッチ棒デザインにしているのは、メーカーのこだわりと遊び心だ。
「Type UFL」は、ポール型、平面型、防水型、小型など各種アンテナを選択可能。指向性アンテナで電波の放射方向を制限したり、長距離通信したい場合には「Type SMA」が向いている。
また、手軽に機器へ接続できるUSBドングル「ToCoStick(トコスティック)」も用意された。これにより無線モジュールTOCOSワイヤレスエンジンとPC、タブレット端末、スマートフォンなどをUSB接続し、簡単にシリアル通信が可能となる。
TOCOSのオフィスでは、TWE-Lite DIPを使って社員の机など約200カ所に温度センサーを配置してデータを集めてみたそうだ。同じ室内でもエアコンや窓の位置によって、温度差がかなりあることが分かったという。
M2MやIoTを実現するためには、このように無線モジュールを無数に設置して環境データを収集することになるが、電源の確保が必要となる。TWE-Liteは、電池で数年間利用できるという超省電力設計であるが、電池を使用している限り交換を行う時がくる。仮に5万カ所にセンサーを設置している場合、電池交換をどうするのか? システムを運用する前に考えておかなければならない課題だ。
電池交換不要の無線センサーを実現するために、エネルギーハーベスト(環境発電)技術に着目したのが「TWE-EH Solar」だ。これは小型ソーラーパネルで発電した電力でTWE-Liteを駆動することで、配線不要、電池不要の無線センサーの実現を可能にする。
デバイスドライバーズでは、エネルギーハーベストを使用した「EnOcean IoT入門キット」を展示していた。光や温度、振動といった微弱なエネルギーを集め電力に変換、無線通信を行うもので、例えばスイッチモジュール内に搭載された永久磁石が、スイッチ押下時に電磁誘導作用で発電し、その電力をコンデンサに溜め込んでマイコンを12秒間動作させ無線送信を行う――といったことができる。
キットには、メインボードや電源モジュール、タッチパネル付カラーディスプレイ、通信モジュール、センサー、LEDなどが含まれる。開発はVisual Studio C#で行う。教育・試作から実用システムまで幅広く利用できるるという。
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