拡大するクラウドソーシング市場――より効率的に人材を活用する新サービスが登場:ベンチャーニュース
クラウドソーシングサービスを提供するランサーズは、東京都内で新事業戦略発表会を開催し、パートナー企業に同社の会員データベースを公開する新サービス「Lancers Open Platform」を発表。2014年度中にパートナー企業を100社まで拡大させ、毎月1億円の受注を目指す。
クラウドソーシングサービスを提供するランサーズは2014年8月12日、東京都内で新事業戦略発表会を開催し、同日よりパートナー企業にランサーズの会員データベースを公開する新サービス「Lancers Open Platform」を提供すると発表した。同社はこのサービスにより、クラウドソーシングを利用した依頼案件の成約率を高める方針だ。
ランサーズ 代表取締役社長 CEOの秋好陽介氏は会見で、「日本のクラウドソーシング市場は2018年に1800億円まで成長すると見込まれている。ランサーズは2020年の東京オリンピック/パラリンピックまでに、1000万人が全世界で自由に仕事ができるプラットフォームの構築を目指す」と語った。
秋好氏はランサーズの2014年度(2015年3月期)第1四半期(4〜6月期)の業績も発表した。同社のサービスを利用して依頼された案件の総額は49億円で、その内の4億5000万円が契約に結び付いたという。また、2014年8月の時点で同社のサービスに登録している会員数は36万6000人、クライアント数は9万1000社としている。
会員データベースを公開する新サービス「Lancers Open Platform」とは
ランサーズが、これらの事業目標や業績などとともに会見で発表したのたが、新サービスとなるLancers Open Platformである。同サービスでは、ランサーズが認定したパートナー企業に、同社の会員データベースを公開する。これまでは、クライアント企業がランサーズを利用して特定の業務を委託する人材を探す場合、ランサーズ側が同社の会員データベースの中から人材をディレクション(選定)していた。今回発表されたLancers Open Platformでは、そういったディレクション業務を、パートナーとして認定された企業がランサーズの会員データベースを利用して行う。
ランサーズのパートナー企業になってLancers Open Platformを利用するメリットは大きく分けて2つある。1つは、パートナー企業の顧客であるクライアント企業から依頼された案件に対して、クラウドソーシングを利用した流動的な人材の活用が可能になることである。クライアント企業がベンチャー企業や中小企業がである場合、市場状況やビジネスの成長に合わせて柔軟に人材を活用できるので、利用のためのハードルが低くなる。もう1つは、パートナー企業自身が“クライアント企業”として、ランサーズの会員データベースに登録されている個人に直接業務を委託できることだ。
会見に登壇した、ランサーズ 取締役COO兼事業開発部 部長を務める足立和久氏はLancers Open Platformを提供する理由について「これまで提供していたクラウドソーシングサービスでは、案件の依頼数に対して成約数が少ないと感じていた(2014年度第1四半期の実績を例に挙げると、49億円の依頼総額に対して、最終的に契約に至った金額は10%以下の4億5000万円にとどまっている)。その原因として、クライアント側の企業が、依頼したい要件を専門的に定義することが難しいという問題があった。例えばWeb制作を発注する場合、クライアント側がどういうものを作りたいのかを明確に定義できなければ、受託側も効率的に作業を行うことが難しい。そういったさまざまな案件に関して、専門的な知識を持つパートナー企業が人材のディレクションを行う立場に立つことで、よりスピーディーかつ質の高いサービスを提供できると考えた」としている。
ランサーズは今後、まず13社の認定パートナー企業とともにLancers Open Platformによるクラウドソーシングサービスの安定的な供給を目指す。2014年度中にパートナー企業を100社まで拡大し、パートナー企業を介したクラウドソーシングサービスで毎月1億円の受注を目指す方針だ。パートナー企業の認定については、特定の領域に対して高い専門性を持っている企業を中心に行っていくという。また、2015年以降にはLancers Open PlatformのAPIを、パートナー企業のみならず全ての企業に公開するとしている。
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