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コマ大戦という「道具」をどう使いますか?伊藤昌良の「知覚動考」(4)

「全日本製造業コマ大戦」は、大会を開催することや、参加するだけが「目的」ではない。「道具」としてどう使うかが重要だ。

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 早いもので、6月も半ばです。雨が降る時間も長く、ジメジメとした環境で気分が優れない人も多いのではないでしょうか。「エルニーニョ現象の影響で梅雨が長引く」などという報道もありますが、気分だけは晴れやかに過ごしたいものですね。

 今回は最終回ということで、最近私の考えていることをSNSなどにアウトプットしてきた内容をまとめてみます。

 まず、モノづくりの現場でよく聞こえてくる話は、こんな感じだと思います。

  • 腕の良い職人は「道具」を大切にする。下手な職人は「道具」を粗末に扱う。
  • 本当に良い道具は、使う人も大切に扱うから、時を越え受け継がれていく。
  • 腕の良い職人は、ライバルでも良いところは素直に受け入れて自分のモノにする。人の動きを観察し、見習うべき点は素直に見習う。
  • たとえ、自分のやり方と違っていても批判することはしない。
  • 私も、道具を大切に扱い、良いことはどんどん取り入れ、良い職人と呼ばれるようになりたい。

 上記は「道具」の例ですが、会社や所属グループなども当てはめることができると思います。そして、私が積極的に関わっている全国的イベント「全日本製造業コマ大戦」(コマ大戦)も、あくまで「道具」です(関連記事:僕らはどうしてコマ大戦をやるのか)。


コマ大戦の様子:写真左が筆者

 初めて見聞きした人が勘違いをしがちなようですが、この大会を開催することや参加することだけが「目的」ではないのです。あくまで「道具」としてどう使うかが重要なのです。参加者に限らず運営側にとっても、このイベントを「良い道具」にできるかは、とにかく使い手次第です。そして、使うかどうかも自分次第。もっと良い「道具」があれば、それを使えばよいと思います。

 コマ大戦では、さまざまなバックグラウンドを持つ人が、自ら「道具として使うこと」と選択し、集い、シナジー効果を発揮しています。

 ただし、このコマ大戦という「道具」は「共有財産」なので、大切に使う必要があります。自分だけが好き勝手にこの「道具」を使って、利益を追い求めるのは間違った使い方といえます。上手に大切に使い、周囲と協調しながら自社だけでなく、周囲にも利益を生むのが正しい使い方です。

 「製造業の未来のために」「地域の活性化のために」、そして「子どもたちがモノづくりに関心を持ってくれるように」……、考え方はさまざまでよいと思います。直接的な利益もあれば、「風が吹けば桶屋がもうかる」的利益もあるし、「経験や仲間との出会い」というプライスレスなこともあるでしょう。

 最終的には、金銭的な利益を創り出していかなければ、活動は継続はできません。利益を享受するための動きも積極的にしなければならないのも事実です。コマ大戦の「道具としての効果」で、もしも利益が出たのであれば、大切な「道具」のメンテナンスにも使ってほしいと思います。

 金銭でも、時間でも、能力でもいいので、利益になったことに感謝を持って、メンテナンスして、さらなる発展のために投資ができればよいのではと思います。「単純に楽しいからやっている」というのも、ひとまずは良いとは思いますが、自分の天秤がコマ大戦“だけ”に傾かないようにだけはした方がよいと私は思っています。

 私自身が理解している内容では、「最終的に日本の未来を良くするため、日本を元気にして、次世代にバトンタッチする」というのが、コマ大戦に皆が集う“旗印”になっていると思っています。企業活動を通じ、利益を上げ、納税することにつなげられなければ、次世代に元気な日本は残せないでしょう。

 幸いにも、多くの人がコマ大戦という「道具」を選択し始めています。私もこの「道具」を使う選択をしました。これからのコマ大戦には、さらなるシナジーが欠かせないと考えています。さまざまなジャンルで活躍する人たちが、多様な視点で考え、協働することで、今までになかった“何か”を生むことが可能ではないでしょうか。

 コマ大戦も、参加いただける皆さんと、各地で運営にご尽力いただける皆さんの本気な動きが、ものすごいパワーを発揮し、周囲を巻き込み、海外からの参加者まで出てくるようになりました。2015年2月15日(開催予定)には、世界各国からチャンピオンを招いた「世界コマ大戦2015」も開催します。

 「世界コマ大戦2015実行委員会」には、さまざまなジャンルの方に参加いただいていて、製造業以外では、英語講師、セレクトショップ、環境ビジネス、デザイナー、コンサルタント、士業、行政、プロモーション会社、会社員……実にさまざまなジャンルの方にお集まりいただいて、皆の共有財産を大切に育くもうとしています。

 誰にでもこの「道具」を使う権利はあります。もし興味があるなら、遠慮せず、ぜひお手伝いいただきたいと思っています。製造業だとか、商業だとか、行政だとか、士業とか、会社員だとか……、小さい枠にとらわれることなく、自分なりの「道具」の使い方を見つけ、そこから何かを得て行くことができるはずです。

 一人一人が新しい何かを得るためには、まさに「知覚動考」(ともかくうごこう)な姿勢が必要です。「世界コマ大戦2015」を開催するにあたり、ようやく協賛金募集も本格化し始めたので、正式にリリースできる時期がきたら、何らかの形で皆さんに協力を仰ぐことになると思います。

                 ◇

 この「知覚動考」では、見て聞いて「知」ったことを、しっかりと「覚」えて、行「動」に反映させ、しっかりと自分で「考」え発信することが大切ということをベースに、いろいろなことに目を向け学ぼうということをベースに書かせていただきました。

 今回書かせていただいたコマ大戦は、私にとって、「知覚動考」を実践する場になっています。自分が今まで経験してきたことを活用し、考えるだけではなく、行動を起こし、自らの意見を述べ、問題解決を能動的に行うよい題材です。

 これは、それぞれが所属する会社についても同じことがいえるのではないでしょうか。会社を「道具」と表現するのは、語弊も生じるのかもしれませんが、生きる糧(かて)を得るため、自分の人生を表現するための大切な「道具」といえると思います。

 「道具」は使うだけではなく、メンテナンスする気持ちが必要でしょうし、大切にする必要もあると思います。

 皆さんも、仕事だけではなく、良い「道具」を見つけ出し、知覚動考を実践してみることをお勧めします。

 またどこかでお会いする機会があることを願い、本連載を締めくくります。ありがとうございました。(終わり)

Profile

伊藤 昌良(いとう まさよし)

1970年生まれ。2004年に株式会社エムエスパートナーズを創業。加工部品専門の技術商社として、アルミ押し出し形材をはじめ切削加工部品やダイカスト製品などを取り扱う。「役割を果たす技術商社」を理念に掲げ、組み立てや簡易加工を社内に取り込みながら、協力会社とともに一歩前へ踏み出す営業活動を行っている。異業種グループ「心技隊」創設メンバー。「自分に出来る事を、自分の出来るやり方で、自分が出来る限りやる」を基本とし、製造業界に必要とされる活動を本業の傍ら日々取り組んでいる。


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