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ソフトウェア開発プロジェクトが大ごけする“カラクリ”山浦恒央の“くみこみ”な話(63)(2/3 ページ)

ソフトウェア開発プロジェクトで致命的な失敗を引き起こす、「仕様の誤解」が発生するメカニズムを詳しく解説します。

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コミュニケーションの流れ

 図1と表1を見ただけでは、「レバーを90度回してください……」以上に誤解が生じるので、具体的なコミュニケーションの流れを順に説明します。人と話す時を想像しながら読んでください。

ステップ1 伝える内容をイメージする

 話し手(送信者)は、伝えたいことをイメージします。例えば、図2に示したように、言葉で表現する前に、頭で一度考えます。

図2
図2 伝えたいことをイメージする

STEP.2 変換(コード化)する

 話し手(送信者)は、聞き手(受信者)に理解できる言葉に変換します。例えばオフショア開発では、「プロジェクトの進行状況に問題はありますか?」と相手に聞きたい場合、相手が日本語を理解できないと、例えばシリコンバレーの米国人に対しては、英語に変換する必要があり、「Is there a problem in the project status?」と聞きます(図3参照)。

図3
図3 相手に分かる言語に変換

STEP.3 メッセージの送信

 話し手(送信者)は、変換(コード化)された言語を文字や図式、音声などに変えて、メッセージとして聞き手(受信者)に送ります。メッセージを送信する手段(媒体)には、メール、電話、文書などがあるでしょう。図4では、話し手は、「プロジェクトの状況はどうですか?」と聞いています。

図4
図4 メッセージを伝える

STEP.4 ノイズが発生する

 メッセージが伝わる際、それを妨げるノイズが入ることがあります。特にオフショア開発では、異なる開発文化背景、技術力の差、業務知識や経験の有無、距離、時差などが原因で、相手にこちらのメッセージが伝わらない場合があるのです。これがノイズです。図5では、プロジェクトの進行状況の質問に対して、聞き手の文化背景から「プロジェクトの状況に問題はないが、今後は分からない」と考えています。

図5
図5 ノイズが発生

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