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ヤマト運輸が新型配送車を4カ月で開発、「クール宅急便」改革を加速保冷スペースは4倍に(1/2 ページ)

ヤマト運輸は、保冷した状態で輸送を行う「クール宅急便」用の冷蔵/冷凍スペースを柔軟に変更できる新型配送車を開発した。クール宅急便改革を加速させるため、通常は1年かかる新型配送車の開発を4カ月で完了させたという。

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ヤマト運輸が導入する新型配送車

 宅配便大手のヤマト運輸は2014年4月22日、羽田空港に隣接する同社の物流拠点「羽田クロノゲート」で会見を開き、保冷した状態で輸送を行う「クール宅急便」用の冷蔵/冷凍スペースを柔軟に変更できる新型配送車を開発したと発表した。同年6月末までに57台を全国に導入し、その後順次導入を広げていく方針である。

 ヤマト運輸は、クール宅急便の不適切な温度管理や配達作業による不祥事が2013年10月に発覚した後、同年11月末に社内調査の結果と再発防止策を発表している。再発防止策の1つとして挙げられていたのが、クール宅急便の積載容量の変動に対応可能な新たな配送車の開発である。従来の配送車は、冷蔵スペースが920l(リットル)、冷凍スペースが800lで決まっており、これらを変更することはできなかった。このことが、冷蔵/冷凍スペースに入り切らないクール宅急便を通常のスペースを使って配達するという問題の原因になっていたからだ。

ヤマト運輸が導入する新型配送車。左から順に、東プレ、トヨタ車体、日本フルハーフ、北村製作所が製造した車両となっている
ヤマト運輸が導入する新型配送車。左から順に、東プレ、トヨタ車体、日本フルハーフ、北村製作所が製造した車両となっている(クリックで拡大)

蓄冷板の併用で実現した「ハイブリッド保冷」

 今回発表した新型配送車は、クール宅急便の積載容量に合わせて、事前に保冷スペースの容量を柔軟に変更できる機能を備えるとともに、さまざまな改良を加えた新設計の車両となっている。

ヤマト運輸の福田靖氏
ヤマト運輸の福田靖氏

 新型配送車は2種類ある。1つは、大規模な集合住宅や商業施設など、駐停車時間が長時間化する地域向けの車両である。この車両は、荷室の中に設置した間仕切りを動かすことで、冷蔵/冷凍スペースの容積を4パターンに変更できる仕様となっている。間仕切りを動かさない標準状態の容積は、冷蔵スペース、冷凍スペースとも1662lで、従来の2倍前後に増えている。間仕切りを動かせば、冷蔵/冷凍スペースのどちらか、もしくは両方について、標準状態の約2倍の3187lにまで容積を増やせる。冷蔵/冷凍スペースの両方を増やす場合は、保冷スペースは従来の車両の約4倍にまで増えるわけだ。

 またこの車両は、車両に搭載した室外機や室内機を動作させられない駐車中でもクール宅急便の保冷が行えるように蓄冷板を搭載している。夜間に外部電源を使って蓄冷板に充電しておけば、駐車中でも約8時間の保冷が可能である。ヤマト運輸の構造改革部長を務める福田靖氏は、「室外機と室内機を用いた通常の保冷と、幾分古い手法ではあるが蓄冷板による保冷を組み合わせることで、最新のハイブリッド保冷を実現できた」と説明する。

新型配送車における冷蔵/冷凍スペースのレイアウト変更。左側の図が、大規模な集合住宅や商業施設向けで、間仕切りを動かして4パターンに変更できる。右側の図は、小口配送や企業向けの中口/大口配送向けで、荷室内の扉を使って2パターンに変更可能だ(クリックで拡大) 出典:ヤマト運輸

 もう1つの新型配送車は、小口配送や企業向けの中口/大口配送に用いる車両で、荷室内の扉を開閉することにより冷蔵/冷凍スペースの容積を増やせる。扉を開けた標準状態の容積は、冷蔵スペースが1230l、冷凍スペースが1110l。こちらも従来比で1.3〜1.4倍になっている。扉を閉めると、標準状態の冷蔵スペースが冷凍スペースになって、容積は2450lになる。一方、もともとの冷蔵/冷凍スペースの仕切りと閉めた扉との間が冷蔵スペースとなり、容量は3810lに増える。さらに、常温スペースには、容積が約1300lのコールドボックスも搭載できる。

 なお、大規模な集合住宅や商業施設向けの車両は東プレが、小口配送や企業向けの中口/大口配送に用いる車両は北村製作所、トヨタ車体、日本フルハーフが開発を担当した。

大規模な集合住宅や商業施設向け新型配送車で、間仕切りを動かして冷蔵/冷凍スペースのレイアウトを変更する様子。写真のように、女性でもそれほど力を使わずに変更できる。標準状態から、2分間もかからず、冷蔵/冷凍スペースの両方の容積を増やした状態まで間仕切りを動かせた(クリックで拡大)

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