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京子がクルマつくってるらしいよ(@_@;)モデルベース開発奮戦ちう(1)(2/4 ページ)

技術者であれば一度は聞いたことがあるかもしれない「モデルベース開発」という言葉。本連載では、主人公である電装部品メーカーの若手女性技術者・小野京子が、“燃費世界一”を目指すクルマの開発に関わる中で、モデルベース開発を一から学びつつ、技術者としても成長していく姿を描きます。京子の奮戦に乞うご期待!

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モデルベース開発について調べてみた

 「モデルベース開発」。英語ではModel-Based Developmentとなっており略語はMBD。

 インターネットで検索したところ、一言でいうとモデル(=シミュレーション)を使って開発を進める手法のことらしい。このモデルというものを扱うソフトウェアや、モデルベース開発を実現する機器など、ツールには実に多くのものがある。


モデルベース開発の概念図
モデルベース開発の概念図(クリックで拡大)

 また、モデルベース開発に関する団体も多数ある。中でもJMAAB(Japan MBD Automotive Advisory Board)という団体は、自動車業界から23社が集まって、モデルベース開発を推進するために議論をしているようだ。そこで、この団体の事務局担当である、飯田さんに話を聞いてみることにした。飯田さんは、モデルベース開発に使われるソフトウェア「MATLAB/Simulink」を開発しているMathWorksという企業の技術営業でもある。

 飯田さんによれば、もともとJMAABはMATLABのユーザー会だったという。JMAABのMは、MATLABのMだったのだ。しかし、団体の規模が大きくなり、MATLABを含めてMBDに用いるさまざまなツールを活用してより良いモデルベース開発環境を構築するための活動が中核になっていったこともあって、JMAABのMを、MATLABからMBDに変更したというわけだ。

 MATLABのような開発用ソフトウェアは大学でもよく使っていたので、今回利用することになっても違和感があるわけではない。シミュレーションを用いた開発というのも、ごく当たり前のことに思えた。

 しかし、飯田さんが次に話したことは、私にとって衝撃的なものだった。

飯田

モデルベース開発では、仕様書を実行可能(=シミュレーション可能)にすることが本質だと聞いています。


京子

それって本当ですか!?


 CVTの場合、ドライバーが快適に運転できるように、自動車というシステムの内部で変速比を油圧によって制御する。しかしこれには、道路が坂道であったり、雨や雪が降っていて路面の状態が通常とは異なったりといったさまざまな条件に合わせた適切な制御が行われなければならない。そうでなければ、安定した性能が出せないどころか、最悪故障してしまい交通事故につながる可能性もある。

 また、自動車の開発では、部品メーカーに対して仕様要求がうまく伝わっていないために、実際に自動車に組み込んで見ると思ったような性能が出ないというようなトラブルは日常茶飯事だ。「仕様書を実行可能にする」ということによって、そういった問題は起こらなくなる。ティア1サプライヤにとっては悲願と言ってもいい。

飯田

とはいえ、モデルベース開発はまだ発展途上です。本格的なモデルベース開発には、より多くの知見と改良が必要だと考えられています。そのために発足したのがJMAABなのです。幸い来週、オープンカンファレンスという無料のJMAAB活動報告イベントが開催されます。参加されてみてはいかがでしょうか?


 私はそのオープンカンファレンスに参加することにした。

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