フォルクスワーゲングループナイトに見る、「マッハ18」に向けた有言実行:ジュネーブモーターショー2014(2/3 ページ)
Volkswagen(フォルクスワーゲン)グループが、「ジュネーブモーターショー2014」でも、国際的なモーターショーで恒例となった前夜祭イベント「フォルクスワーゲングループナイト」を開催。自動車ジャーナリストの川端由美氏による、同イベントのリポートをお送りする。
ル・マンでグループ内対決、アウディvs.ポルシェ
「ル・マン24時間耐久レース(以下、ル・マン)」で累計12勝を上げて、近年では無敵を誇るアウディにとって「R18 e-トロン・クワトロ」の発表も欠かせない。ル・マンおよびWEC(世界耐久選手権)に出場する2014年モデルは、新たに「第2のハイブリッド機構」が加わった。具体的には、2013年モデルまでのブレーキ時のエネルギー回生に加えて、ターボチャージャーからの排熱もエネルギー回生に用いる。2014 CESで発表した、レーザー光源により遠くまで均一に前方を照らすヘッドランプ「レーザーライト」の搭載も話題だった。
R18 e-トロン・クワトロの新しいハイブリッド機構は、ほぼ1年前に完成されていた。なぜなら、“耐久王”の異名をとるPorsche(ポルシェ)が、ル・マンに復活参戦するからだ。同じフォルクスワーゲングループとはいえ、近年のル・マンをわがものとする王者アウディにとって、過去にル・マンで累計16勝を誇るポルシェとの初対決は真剣勝負そのものだ。
同じ会場でポルシェは、ル・マンで総合優勝を狙える「LMP1クラス」のレースカーとして「919ハイブリッド」を2台投入すると発表。1970年代にル・マンで活躍した「917」の後継であることをほのめかしつつ、現行モデル中で最強のプラグインハイブリッドスーパースポーツカー「918」との関連性も強調する。
心臓部のパワートレインは、トップカテゴリーに設定された厳しい燃費規制を含む新レギュレーションを満たすために開発された。約500ps(368kW)を生む過給ダウンサイズユニットの排気量2.0l直噴V型4気筒エンジンに、前輪を駆動する電気モーターからの出力が加わるハイブリッド機構を備える。R18 e-トロン・クワトロと同様に、2種類のエネルギー回生システムによって効率を高める。近年、WECやル・マンは、市販車に応用できる技術の研究開発の場として有効ともされている。レースで培った技術の市販モデルへの投入にも期待したい。
ジウジアーロのEVはフロントがシザードア、リアはガルウィング
イタリアの老舗カロッツェリアで、2010年から傘下に入ったItaldesign Giugiaro(イタルデザイン・ジウジアーロ)からは、フォルクスワーゲングループのモジュラープラットフォーム「MQB」をベースにした電気自動車(EV)のミニバン「クリッパー」が発表された。ミニバンとは書いたものの、そのフォルムは至って斬新。車高はミニバンとは思えないほど低く、フロントがシザードア、リアはガルウィングと、既視感のないデザインだ。内部には3列のシートが備わり、デジタル式のメーター類が採用される他、助手席用モニターや後席用モニターなど未来感にあふれるインテリアを採用した。150ps(110kW)の最高出力を持つ電気モーターを前後に1個ずつ搭載し、4輪を駆動する。最高速度は時速200km超で、満充電からの走行距離も540kmと、EVの常識を越えた性能を誇る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.