フランスの医療関連企業、注目の10社が集結:全身の3Dスキャンから歯のインプラント技術まで(4/4 ページ)
フランス大使館が主催した「フランスメディカルテクノロジーセミナー」には、新興企業から、世界で高いシェアを持つ製品を提供する企業まで、フランスの医療関連企業10社が集結した。いずれも日本の医療機器市場に強い関心を寄せている。
「患者と一緒に脳波を見ながら治療」を目指す
Mensia Technologies(メンシア・テクノロジー)は、BCI(Brain Computer Interface)の専門家によって2012年に創設された新興企業である。脳波をリアルタイムで測定/分析するソフトウェア「NeuroRT」などの開発を手掛けている。
同社のJean-Yves Quentel氏は、「脳波をリアルタイムに測定し、(ストレスや感情といった)情報を得ることができるので、神経医学や精神医学の分野において、診断だけでなく治療も行えるようになることを目指している。患者とともに脳波を確認しながら治療を行うことは、薬を使用しない治療方法として、業界から大いに注目を集めている」と語った。
医療データ電子化のパイオニア
Medasys(メダシス)は、今回のセミナーに参加した10社の中で唯一、日本法人を構えるメーカーだ。同社は、医用画像ビューワ、画像管理サーバシステムなど、医療分野向けのソフトウェア開発を手掛けている。
メダシス・ジャパンのJean Barthelemy氏は、Medasysが発表した医療データ管理システム「DxSMA」を紹介した。生体情報などを測定する医療機器をDxSMAに登録しておくと、測定後、イーサネットあるいはWi-Fi経由で、自動的にDxSMAにデータが送信される。Barthelemy氏は、DxSMAの日本語バージョンのリリースに注力すると述べる。「単に日本語に訳すのではなく、医療環境の違いなども考慮し、使いやすさを追求していく」(同氏)。「当社は、医療データを電子化する技術のパイオニアだ。これまでに培った経験を生かし、日本市場で積極的な売り込みをかけたい」(Berthelemy氏)。
微生物検査の全自動化を進める
i2a(イー・ドゥ・ザ)は1988年に創設された企業で、病院や研究所向けに、微生物の検査機器や試薬、ソフトウェアを開発している。「Sirscan 2000」は、薬剤の感受性(薬剤に対する病原菌の耐性)を調べるディスク拡散法を全自動で行う装置として注目を集めた。
同社のDidier Dubreuil氏は、「日本をはじめ、アジアは当社にとって非常に重要な市場。特に、日本は検査の自動化が進んでいるので、注目している」と話す。
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