息を吹きかけて健康チェックが可能に? 東芝の呼気分析器:医療機器ニュース
東芝が発表した小型の呼気分析装置は、アセトンやメタンなど、健康状態のモニタリングに有用な呼気成分を分析できる。2014年4月には早稲田大学が、同装置を使用して脂肪酸代謝を評価する実証実験をスタートする予定だ。
東芝は2014年3月18日、健康状態のモニタリングや病気の診断といった用途向けに、呼気中の微量ガスを分析する呼気分析装置を開発したと発表した。半導体製造時のガス分析技術を応用したもの。装置内に息を吹き込み、その呼気に赤外線レーザーを照射して、吸収スペクトルから成分を分離/検出する。
同装置は、光源に量子カスケードレーザーを採用することで、据え置き型の分析装置と同等の測定精度を卓上サイズで実現した。量子カスケードレーザーとは、中赤外(4〜10μm)に発振波長を持つ半導体レーザーである。
現時点で分析可能な成分はアセトアルデヒド、アセトン、メタンの3種類。アセトアルデヒドは二日酔いを引き起こす成分で、アセトンは糖尿病や肥満の人の呼気に多く含まれている成分である。また、メタンは腸内細菌によって生成される成分だ。これらの成分を分析することで、健康状態のチェックや病気の診断を容易に行える可能性がある。
実証実験もスタート
2014年4月1日からは、早稲田大学が同装置を活用し、脂肪酸代謝の生理学評価を開始する予定だ。安静にしている時と運動している時の呼気に含まれるアセトンと脂肪代謝の関係を解析し、運動効果の指標を作り出すことを目指す。
今後は、一酸化炭素、一酸化窒素、二酸化炭素同位体(C-13)など検出できるガス成分の種類を増やす。さらに、大学や病院といった外部機関との共同研究を積極的に進め、呼気分析の有用性が確認できたものから順次、2015年以降の事業化を目指すという。
東芝にとってヘルスケアは、エネルギー、ストレージに次ぐ第3の注力分野だ。ヘルスケア事業については、2015年度に6000億円の売り上げを目指している。
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