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ジュネーブを席巻した「CarPlay」は自動車業界に何をもたらすのかジュネーブモーターショー2014リポート(2/4 ページ)

アップルの「CarPlay」が初披露された「ジュネーブモーターショー2014」は、自動車業界のみならず、世界中のIT関係者の注目をも集めるイベントとなった。本記事では、同ショーで、メルセデス・ベンツ、フェラーリ、ボルボが展示したCarPlay対応車載器を紹介するとともに、CarPlayが今後の自動車業界に何をもたらすのか考えてみたい。

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フェラーリは記者発表にアップル副社長が同席

 アップルとグーグルに対して中立の姿勢を強調するメルセデス・ベンツと比べて、アップルとの親密さを強調していたのがフェラーリだ。ジュネーブモーターショー2014のプレスデー初日(2014年3月4日)に行った記者発表では、6年ぶりにフェイスリフトを受けたV型8気筒エンジンモデル「カリフォルニアT」と併せて、V型12気筒エンジンを積む「FF」がCarPlayに対応することを明らかにした。そして、カリスマ的な存在であるフェラーリ会長のルカ・ディ・モンテゼーモロ氏の紹介により、同社CEOのアメデオ・フェリーザ氏とともに、アップルのiPhone&iOS製品マーケティング担当副社長を務めるグレッグ・ジョズウィアック氏が壇上に登ったのだ。

左側の写真は、記者発表で「CarPlay」を紹介するフェラーリ会長のルカ・ディ・モンテゼーモロ氏。この後、右側の写真のように、同社CEOのアメデオ・フェリーザ氏(モンテゼーモロ氏の左)とアップルのグレッグ・ジョズウィアック氏(モンテゼーモロ氏の右)を壇上に呼び込んだ(クリックで拡大)

 「2年前にアップルからCarPlayの前身となる技術の提案があり、共同での開発をスタートしました。フェラーリオーナーの70%がiPhoneユーザーであり、先進的なテクノロジーを好む傾向にあります。技術的には、インタフェースの使いやすさはアップルのものが抜きん出ています。何より、普段iPhoneで使っている便利なアプリがフェラーリの車載機上で安全に使えるなら、いち早く導入すべきでしょう」(フェラーリCEOのアメデオ・フェリーザ氏)

「FF」の車載機に「iPhone」を接続して「CarPlay」を起動した状態
「FF」の車載機に「iPhone」を接続して「CarPlay」を起動した状態。ディスプレイの右上に「APPLE CARPLAYボタン」がある(クリックで拡大)
「iPhone」のアドレス帳を参照して電話をかけられる
「iPhone」のアドレス帳を参照して電話をかけられる(クリックで拡大)
「CarPlay」上で「iPhone」の楽曲データを再生
「CarPlay」上で「iPhone」の楽曲データを再生(クリックで拡大)

 現段階で、音声エージェント、タッチパネル、専用コントローラという3つの方法で、スマートフォンと車載機を連携して利用できるのはフェラーリ版のCarPlayのみ。実際にFFの車載機にiPhoneを接続した状態でCarPlayを試すことができた。

 ディスプレイの右上にある「APPLE CARPLAYボタン」を押すと、見慣れたiPhoneのアプリのアイコンが画面に映し出される。まずは、タッチパネルでiPhoneのアイコンを操作し、電話をかけてみる。iPhoneと同期してディスプレイに表示される住所録から相手を選べば、iPhone経由で電話ができる。ミュージックアプリのアイコンも同様に操作すれば、iPhone内に入っている楽曲データを選んで車載機のオーディオ機能を使って再生できる。メールの送受信も可能だ。センターコンソール上にある、通常は車載情報機器の操作に使う専用コントローラを使っての操作も同様だ。

 音声エージェントのSiriへの対応もなされている。ステアリングホイールの後ろにあるノブを引くと、Siriが立ち上がり、車載機のディスプレイにiPhoneでおなじみのSiriの音声認識画面が表示される。説明を担当したアップルのエンジニアは、英語のネイティブ・スピーカーなので音声認識は容易だったが、果たして筆者の日本語なまりの英語ではどうかが気になった。MicrosoftとFord Motor(フォード)が共同開発した車載情報機器「SYNC」と比べると、日本語なまりの英語に対しての許容範囲は現段階ではあまり変わらない感じだった。

 ただし、同エンジニアいわく、米国内に限らず、英語圏でもなまりはあり、それらへの対応は順次なされている。そのなまりを話す人が多ければ多いほど学習してくれるし、今後の開発では、日本語にも対応を広げていく可能性もあるとのことだった。

フェラーリの車載機における「CarPlay」の利用イメージ映像(クリックで再生) 出典:フェラーリ

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