BMWとSAPのドイツタッグ、次世代テレマティクスサービスの構築で提携:車載情報機器
自動車メーカーのBMWとソフトウェアのSAP、ドイツの大手企業2社が次世代テレマティクスサービスの構築で提携した。開発したプロトタイプサービスのイメージ映像も公開されている。
ソフトウェア大手のSAPとBMWの研究開発子会社であるBMW Group Research and Technologyは2014年2月26日(欧州時間)、モバイル機器の国際展示会「Mobile World Congress(MWC)2014」(2014年2月24〜27日、スペイン・バルセロナ)において、SAPのクラウド基盤「SAP HANA Cloud Platform」を用いたテレマティクスサービスを開発したと発表した。
今回開発したのは、BMWが想定する将来のテレマティクスサービスのプロトタイプ。車両の位置や走行ルートに合わせて、車両に組み込まれた車載情報機器やスマートフォンなどのモバイル機器を介して、駐車場や店舗に関する情報の提供やクーポン発行を行うというものだ。
まず、駐車場関連では、ドライバーのプロフィールや車両の位置に基づいて、料金や駐車可能な車両のサイズなどの関連情報を含めて、目的地近傍の駐車場に関する情報を提供する。ドライバーが駐車場を選択した後は、その位置を車載情報機器側に送り、ルート案内を行う。
店舗については、車両の現在地や選択した走行ルート、あらかじめ設定したドライバーや同乗者の好みに合わせておすすめ情報を提供する。おすすめ情報にはブックマークを付けることができ、表示頻度をコントロールすれば、運転が注意散漫になることも防げる。また駐車場のケースの場合と同様に、店舗情報をカーナビゲーションシステムに直接送り、ルート案内をさせることも可能だ。選択した店舗のクーポンはスマートフォンに転送されので、そのまま店頭で使える。
トヨタ自動車はマイクロソフト、ホンダはIBMと組む
近年になって、カーナビゲーションシステムなどの車載情報機器が通信機能を備えることにより「コネクテッドカー」の時代が始まりつつあると言われている。BMWは、将来的に本格的なコネクテッドカーの時代が到来した場合には、ドライバーや同乗者にパーソナライズする形で、駐車場やガソリンスタンド、飲食店などの情報を提供できるテレマティクスサービスが必要になると想定している。この次世代テレマティクスサービスのクラウド基盤として選ばれたのがSAP HANA Cloud Platformというわけだ。
大手の自動車メーカーとソフトウェアベンダーによるテレマティクスサービス構築に向けた協業の事例は他にもある。トヨタ自動車とマイクロソフト(関連記事:電気自動車にはクラウドが不可欠、Microsoftとトヨタがサービス構築で提携)、ホンダとIBMなどだ。
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