脳波の利用が進むヘルスケア分野、総合医療展でも高い注目度:センシング技術
ストレスの解消や、メンタルヘルスの診断など、ヘルスケア分野で脳波の活用が広がっている。東京ビッグサイトで開催中の総合医療展「IMEC 2014」でも、脳波を利用したヘルスケア製品に注目が集まっていた。
予防医療や介護福祉などの総合医療展示会「IMEC(Integrated Medicine Exhibition & Conference) 2014」(2014年2月19〜20日)では、ストレスの緩和やメンタルヘルスの診断に脳波を利用する機器が複数、紹介された。
いずれも、多数の電極を取り付けたヘルメットのような器具や大型の測定装置などではなく、持ち運べるほどの大きさだ。こうした小型化が、脳波を手軽に利用するヘルスケア製品の登場にひと役買っている。
α波/θ波を人工的に作りだす
日用雑貨品の輸入/販売などを手掛けるACCは、脳波を利用してストレスの緩和や視力の回復を図る機器「ブレイン・パワー・トレーナー」を展示した。専用のヘッドフォンを着けて、右側と左側から周波数の異なる電気信号を脳の深層部に送り、脳波をα(アルファ)波やθ(シータ)波の状態に誘導するというもの。脳波は、リラックスしている時にα波、まどろんでいる時や瞑想(めいそう)している時にθ波になる。脳波をα波やθ波に導くことで、ストレスの解消などに役立てる仕組みだ。
脳波でメンタルヘルスを診断
医療機器事業やFA事業を手掛けるプリンシプルは、脳波測定器「BES-2000」を使ったデモを行った。脳波を測定/分析し、集中力や判断力、右脳と左脳の活動のバランス、自律神経のバランスやストレス耐性などをグラフで見ることができる。測定時間は10分程度と短い。
同社の担当者によると、「一般的に産業医は、問診によってメンタルヘルスを診断することが多い。だが問診の内容は、『睡眠不足か』『疲れはあるか』『不安に思うことはあるか』など、誰にでも当てはまるようなものが多い。BES-2000で得られるデータは、メンタルヘルスを診断するための客観的な指標になるはずだ」と説明する。さらに、「脳波を本格的に測定/解析する機器で、ここまで小型化した製品は他にないのではないか」と付け加えた。
スティックを握るだけ、健康診断顔負けの160項目を測定
脳波を利用する機器以外にも、手軽に健康診断を行える小型機器も展示されていた。健康関連製品の開発などを行うトラストレックスは、専用のスティックを1分間握るだけで、心筋酸素消費量やコレステロール結晶、血管弾力性など160項目を測定できる「QRM(Quantum Resonance Magnetic) Health Analyzer」のデモを行った。
人体の電気信号や電気抵抗を、専用スティックに搭載したセンサーで検知し、装置内で増幅して解析するというもの。ユーザーは1分間、スティックを握るだけでよい。既に販売されていて、価格は35万6000円。
「QRM Health Analyzer」の測定器本体とスティック(測定バー)。トラストレックスによると、「QRM Health Analyzerで得られる結果の信ぴょう性は、病院などで行う健康診断にもひけを取らない」という。1分間で手軽に測定できるものの、「測定の前日はアルコールなどの服用や激しい運動を避け、できるだけ空腹の状態で測定するのが理想」(同社)など、本格的な健康診断を受ける時と同じような注意事項がある(クリックで拡大)
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