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世界で水が足りない! 日本の企業は、世界の水メジャーに追い付けるか?インフラストラクチャーの未来

今後、人類が利用可能な淡水を作り、供給するためのインフラ需要が爆発的に伸びると予想されています。世界中の企業が大きなビジネスチャンスとして注目している中、日本企業の水ビジネスへの取り組みはどうなっているのでしょうか。

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本記事はインテリジェンスが運営する転職情報サイト「DODA」の記事に加筆・修正して転載しています。



 地球上の全ての動植物の生命維持にとって最も重要な要素の1つである水が現在、世界的に不足しています。ユニセフによれば10億人以上の子供たちが安全な飲み水を手に入れることができないと報告しています。2050年に世界人口は90億人を超え、水の需要は現在の2.6倍になるという試算もあります。

 今後、人類が利用可能な淡水を作り、供給するためのインフラ需要が爆発的に伸びることが予想されており、世界中の企業が大きなビジネスチャンスとして注目しています。

 水に関わる事業はもともと国や地方自治体が行う公共事業ですが、自前で水の供給を行うよりも、効率のいい民間企業にゆだねる例が出てきています。このような水ビジネスでは、民間企業が水源開発から供給、インフラの維持・運営、さらには下水道施設全般までを請け負っています。受注企業はこれら全てをパッケージとして提供し、発注担当者はゴーサインを出すだけでいい、いわゆる「ターンキー契約」を結びます。

 どの企業も国家に後押しされ、水ビジネスは国を挙げたビジネスになっています。

技術的優位性を持つものの、水ビジネスに参入できていない日本

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 では、日本の企業はどうなっているのでしょうか。日本の上下水道のシステムはいまだに地方自治体が主体で開発・運営を行っていて、民間企業は全体を委託されている例がありません。しかし、日本の水道事業は世界でも有数の技術力を持っています。この技術を生かして、和製メジャーを目指すような動きも始まっています。経済産業省、国土交通省、厚生労働省が共同で官民による情報の共有・交換を行うための場として、「海外水インフラPPP協議会」を立ち上げています。2011年には水処理技術に強い荏原製作所、世界で多くのプラント建設実績がある日揮、営業力や海外での事業ノウハウがある三菱商事の3社が出資する「水ing 株式会社」(スイング)という合弁会社が立ち上がって、インフラを丸ごと受注する動きが広がっています。

 水ビジネスで多くの企業に助言を行っていて国連テクニカルアドバイザーも務める、グローバルウォータ・ジャパン代表の吉村和就氏は、「日本の水処理技術を俯瞰すると、世界に誇れる技術はたくさんある。水を磨く三次処理、漏水防止、下水道汚泥の資源化、海水淡水化技術など、これらの技術を持って世界に飛び出す企業が出てほしい。水問題の解決は、世界中の人々を幸福にできる。世界に貢献できる水関連ビジネスをぜひ広げてほしい。世界は日本の優れた技術を待っている」と、日本の技術的優位性とビジネスに参入できていない状況を指摘しています。

水ビジネス関連業界は、転職先としても注目の分野

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※クリックで拡大:インフォグラフィック「水ビジネスと日本企業」

 水関連の施設は、水の処理本来の技術でも機械設備や化学のエンジニアなど多くの専門技術が必要で、それ以外にも処理場などの設備には建築・土木のエンジニアも必要です。この業界では、常にエンジニアが足りない状況が続いているようです。

 モノづくり系の多くの分野の専門職が必要な水ビジネスは、今後の市場の伸びしろを考えても、注目の分野と言えるのではないでしょうか。

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