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モノづくりベンチャーが日本のモノづくりを盛り上げるには?モノづくりイベントレポート(2/2 ページ)

ITと結び付いたモノづくりに取り組むベンチャー企業、Sassor、ガラポン、ユカイ工学の3社が、モノづくりベンチャーの現状や日本のモノづくりについて語った。

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資金調達について

 クラウドファンディングのようなサービスはあるものの、モノづくりベンチャー企業にとって、資金調達はまだ厳しい現状のようだ。

 保田氏は、「メイカーズムーブメントの盛り上がりは、まだ実体経済に反映されていない」という実感だという。確かに、クラウドファンディングでの資金調達の可能性はあり得るが、ベンチャーキャピタルの出資はまだ、ハードルが高いと述べた。

 石橋氏は、「日本のベンチャーキャピタルは、“ベンチャー起業”をひとくくりにして考えている感じがする」という。ベンチャーキャピタルは、ビジネスにネットワーク効果を求める。例えば、仮想空間で成り立つWebサービスは、そういったことに取り組みやすいが、ハードウェア系のビジネスは、「モノ(実物)がなければいけない」ため、Webサービスのような広がりを期待するのは厳しい。「ハードウェアのビジネスをいかにロジカルに説明し、いかに納得してもらうか」ということになるが、かなり厳しいと石橋氏。また「クラウドファンディングで突き抜けることが、やはり成功の仕方としてはきれいだと思う」と話した。

日本のモノづくりを盛り上げるには?

 メイカーズムーブメントを単なるブームで終わらせないためには、日本のモノづくりを盛り上げていくためには、やはり“実績作り”が重要である。そのあたりについて3人はどう考えているのだろうか。

 「アメリカのモノづくり展示イベント『Makers Fair』は規模が大きく、仕事以外の趣味で、手芸も含めたさまざまなモノづくりに取り組む人が多い。そういう人たちをサポートするようなプラットフォームが日本にもあるとよい」(石橋氏)

 「バルミューダやテラモータースは、ものすごく成功しつつある。そして、この場の3人や、モノづくりベンチャーが、突き抜けて大成功する。そうすれば、『ああいう成功シナリオがあるんだ』と、後に続く起業がなぞることができる。成功することこそ、盛り上がりの秘訣」(保田氏)。

 「下請け仕事しか考えてこなかった町工場や企業がプレイヤになること。そういう方々に一番チャンスがありそう。インターネットさえあれば顧客ニーズ把握もでき、顧客に製品を直接届けられる。どこか1つ得意な技術があれば、後は『それをどう届けようか』というアイデアを考えれば、以降の生産はお手のものだろうし。そういう土壌ができていると思う」(青木氏)。

モノづくりベンチャーとして苦労したこと、乗り越える方法

 最後に、モノづくりベンチャーとして苦労したことや、それを乗り越える方法について、3人が語った。

 石橋氏は、モノづくりの知識があまりなかったので、知人のモノづくりベンチャーの経営者たちによく相談したという。「大学時代の自作ロボットレベル」以降の壁を乗り越えるのに苦労したという。後は、ビジネスの流れづくり(お金の流れづくり)や資金調達も悩ましかったそうだ。

 保田氏は、「自分は自社の製品が好きで、中毒といえるほど毎日使っていた。次に、マニアックな人たちが興味を持ってくれて使い出した。次は、それ以降のキャズム(初期市場から主市場への移行を阻害する深い溝)をどう超えるかが課題。『値段を落とす』『量産コストを考慮する』『売れる保証を誰が取るか』など……、さまざまだ。それを乗り越えるには、製品が持つパワーだと思う。ドキドキする製品を生み出すこと」と述べた。「今の人たちは、物欲がない。そんな人たちが、お金を出してまで、心から『欲しい』と思える製品、すなわちパワーを持った突き抜けた製品が世の中に出てきてほしい」。

 青木氏は「今のモノづくりベンチャーの置かれる状況は、10年くらい前のインターネット黎明期のベンチャーの置かれていた状況とすごく似ている。10年前当時、企業のサーバでLinuxやMy SQLを動かして仕事をするのはあり得なかった。データを預かるのは、もっぱら大手ベンダーのデータベースシステムだった。その一方で、PHPやMy SQLを使ったサービスで小さな会社が成功していた」と、過去を振り返った。大手企業は、セキュリティ面について多くのノウハウを持っており、認証取得も得意だ。大手企業と小規模企業、それぞれの利点を考えていくことも課題だと同氏は述べた。

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