NECソフト、“ストレスセンサー”開発へ:センシング技術
NECソフトと群馬大学は、疲労やストレスの度合いを示すバイオマーカーを、容易に検出できるモニタリングキットの開発に着手する。これまではバイオマーカー検査に数日かかっていたので、その手間を低減する手段になるとしている。
NECソフトと群馬大学 理工学研究員分子化学部門(以下、群馬大学)は2014年2月5日、人工核酸を用いた簡易検出センサーの開発に着手したと発表した。唾液や尿など生体を傷つけずに得られる検体から、疲労やストレスを示すバイオマーカー*1)を検知するもの。両者は、このセンサーを用いたモニタリングキットも開発する。これにより、近年大きな社会問題となっているメンタルヘルス対策に貢献できるとしている。
*1)バイオマーカー:人間の生体情報を数値化/定量化した指標。疾患の状態などを知る手段になるとして重要視されている。
メンタルヘルス分野では、問診を補助する目的で、バイオマーカーの検出に対するニーズが高まっている。だが、既存のバイオマーカー検査は検体を専門機関に送って大型装置で解析するので、結果を得るまでに数日を要する。そのため、その場でバイオマーカーを確認し、休息が必要かどうかを判断するには適していなかった。
NECソフトは、2011年に独立行政法人 科学技術振興機構(JST)の研究費助成を受け、DNAやRNAといった核酸を用いた、核酸アプタマー*2)をソフトウェアで生成する技術を開発した。
*2)アプタマー:特定の標的物質に結合する人工の核酸分子。次世代のセンサーとして期待されている。
一方の群馬大学は、独自の人工核酸ライブラリを活用して、バイオマーカーに対して高い結合性を示す人工核酸アプタマーの生成に成功している。
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