ショッピングカートもインテリジェントに! インテルが購買体験を進化させる:SCビジネスフェア2014リポート(1/2 ページ)
インテルは、日本ショッピングセンター協会主催の第38回日本ショッピングセンター全国大会「SCビジネスフェア2014」に初出展し、最新のコンセプトモデルやソリューションの数々を披露した。本稿では、既に店舗・商業施設での導入が決定している「インテリジェント・ショッピングカート」と「インテリジェント・ブックシェルフ」の展示デモの模様を中心にお届けする。
インテルは、日本ショッピングセンター協会主催の第38回日本ショッピングセンター全国大会「SCビジネスフェア2014」(会期:2014年1月22〜24日/場所:パシフィコ横浜)に初出展し、パートナー企業とともに、最新のコンセプトモデルやソリューションの展示デモを披露。来場者はもちろんのこと、出展しているデベロッパーやテナント、ショッピングセンター関連企業に対し、インテルの技術を活用した店舗・商業施設向けの取り組みをアピールしていた。
同展示会は、ショッピングセンター業界唯一の商談展示会として位置付けられており、「デベロッパー」「テナント」「関連企業」の3つに区分されたゾーンには、非常に多くの企業が出展していた。
普段MONOistでお伝えしているような組み込み関連イベントとは全く雰囲気の異なる展示会であるが、インテルは「エンドユーザーへのアプローチは非常に重要だと考えている。来場者や出展企業の声を直接聞き、交流する中でインテルの技術を知ってもらう機会を作るとともに、われわれ自身も新たな提案やアプローチのヒントを吸収したい」と出展意義を説明する。
画像1 日本ショッピングセンター協会主催の第38回日本ショッピングセンター全国大会「SCビジネスフェア2014」に初出展したインテルのブースの外観。ブース構成としては、流通情報システム総合展「リテールテックJAPAN」に近い雰囲気だった
インテル自身はこれまで通り、プロセッサを中心とする自社製品をセットメーカーなどに売り込むことに変わりはない。しかし、こうした業界に特化した展示会にインテル自らが出展することで、業界向けの取り組みや自動販売機/デジタルサイネージなどに活用されている組み込み技術を、エンドユーザーに直接アピールすることができる。「テレビCMや家電量販店に並ぶPCのイメージが強いインテルだが、あらゆるシーンでインテルの技術が活用されている点をエンドユーザーの皆さんにも知ってもらいたい。そして、マーケットの側からも、インテルの技術を搭載した製品を『使いたい』と要求してもらえるような流れを作り出していきたい」(インテル)という。
こうした意気込みを示すかのように、インテルのブースでは、消費者に新たなショッピング体験を提案するコンセプトモデルや、店舗・商業施設の業務を効率化させる最新ソリューションを数多く見ることができた。ショッピングセンター業界の商談イベントということで、技術色の強いインテルのブースはかなり異彩を放っていたが、これがかえって来場者の注目を集めていたように感じた。それでは、展示デモの様子を紹介していこう。
可視光通信を活用したインテリジェント・ショッピングカート
接客支援に関するコンセプトモデルとして、展示デモを行っていたのが、ブイシンクの「インテリジェント・ショッピングカート」だ。これは、スーパーマーケットなどにあるショッピングカートに、インテルのプロセッサを搭載したタブレット端末を組み込んだもので、フロアマップの表示だけでなく、個人や行動に基づいたきめ細やかな情報提供を行ってくれる次世代のショッピングカートである。
画像2 インテルのブース内で、ブイシンクが披露していたのが「インテリジェント・ショッピングカート」だ。LED照明から可視光通信でお買い得商品の情報を発信し、それをショッピングカートに組み込まれたタブレット端末の受信器でキャッチし、ディスプレイ上に情報を表示する
例えば、店舗内のある地点を通過すると、その近辺にあるお買い得商品をタブレット端末のディスプレイにポップアップ表示したり、現在位置や過去の購入履歴などの属性情報に合わせて、オススメ情報や夕食のおかずの提案などを表示したりできる。
展示会場では、LED照明から可視光通信でお買い得商品の情報を発信し、それをショッピングカートに組み込まれたタブレット端末の受信器でキャッチして、ディスプレイ上に情報を表示するデモを実演していた。「ショッピングセンターなどの会員向けサービスとして展開できるのではないかと考えている。NFCに対応するスマートフォンなどをインテリジェント・ショッピングカートにかざしてログインしてもらうことで、現在位置や過去の購買履歴に基づいた新しいショッピング体験を提供できる」(説明員)。
ちなみに、店舗内での位置特定の方法としては、マーカーとカメラの組み合わせなども考えられるが、これだと障害物や商品陳列の仕方などでマーカーが隠れてしまうこともある。「こうしたことが少ないよう既存の照明設備を活用し、可視光通信を用いることにした」(説明員)という。
過去の購買履歴と店舗内での行動を連動させることで、店舗からの一方的な押し売りではない、顧客満足度の高い商品提案が可能になるという。また、店舗側にとっても会計時に、通常のPOSデータに加え、店舗内のどこを通過したかなどの行動履歴を取得することができるため、「店舗レイアウトや商品陳列の改善などにも役立てられる」(説明員)とアピールしていた。
なお、導入店舗についてはまだ明らかにされていないが、既に「年内中の国内導入が決定している」(説明員)とのことだ。
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