アプセサリーでビジネスチャンス拡大! 半導体サプライヤ ノルディックセミコンダクターのMAKERSビジネス支援とは?:スマートフォンを楽しくする「nRF51 ブランクモジュール」
半導体サプライヤのノルディックセミコンダクターが、MAKERSビジネスのバックアップに取り組んでいる。スマホ連携機能搭載のグッズが簡単に作れるブランクモジュールや、量産販売ルートを開拓するためのコンサルティングも行っている。2013年12月7日、東京で開催されたMONOist主催イベント「MONOist ミーティング MAKERSのアイデアを具現化する! いますぐできる製品開発と3D設計」では、同社日本担当カントリー・マネージャー 山崎光男氏が、今日のMAKERSムーブメントについての考えやビジネス支援について語った。
2013年12月7日、東京・御茶ノ水 ソラシティ カンファレンスセンターで、日本のMAKERSが集まり、モノづくりビジネスについてディスカッションするミーティングの第2弾「MONOist ミーティング MAKERSのアイデアを具現化する! いますぐできる製品開発と3D設計」が開催された。
ノルディックセミコンダクターの日本担当カントリー・マネージャー 山崎光男氏によるセッション「誰でもBLEアプセサリーのメーカーになれるプラットフォーム」では、マイコン感覚で “BLE(Bluetooth low energy)アプセサリー”が開発可能なプラットフォームが紹介された(関連リンク:「スマホ連携機器が簡単に作れる! Bluetooth Smartモジュール」)。
「アイデア」と「スピード」。MAKERSにチャンスを与えるマーケット
BLEは、Windows、OSX、iOS、Androidが対応し始めたことで、スポーツやフィットネス、ヘルスケア、おもちゃ、家電、あるいはホームオートメーションなどに広がりつつある。また2013年12月5日に発表されたBluetooth 4.1ではIPv6をサポートし、“モノのインターネット”(IoT:Internet of Things)の動きを加速することにもなりそうだ。
もう1つ、今後大きなマーケットとなることが予想されるものは、「ア“プ”セサリー」(アプリ+アクセサリー)だ。ハードの機能は単純でも、スマートフォンのアプリケーションやクラウドサービスと連携することによって、個性的で魅力あるアクセサリーになる。また独自のプロファイルを作成できるため自由度は高く、可能性は限りないといっても過言ではないだろう。
アプセサリーのマーケットにおいては、企業規模や卓越した技術が優位とはいえない。現に世界中でヒットし始めている製品は、最近まで知らなかったような企業、あるいは存在さえしていなかった企業が提供しており、アプセサリーの世界で最も重要なのは、「アイデア」と「スピード」だといわれている。つまり、MAKERSに大きなチャンスを与えてくれるマーケットなのだ。
認証取得のハードルは「ブランクモジュール」でクリアできる
しかしハードルもある。各種「認証」を取得しなければならないことだ。Bluetooth認証はもちろん、市場各国の無線認証が必要で、新興の企業や、個人のデベロッパーにとっては荷が重い。しかし認証付きアドオン・モジュールはコストが掛かり、アプセサリーの価格を安価にすることが難しくなる。また、アドオン・モジュールは、完成品のサブシステムとして全体で認証を取得して出荷されるため、その後は原則としてファームウェアの変更ができない。
このハードルに対して、ノルディックセミコンダクターは「nRF51 ブランクモジュール」を提案する。
特徴は、スタックエリアとアプリケーションエリアが完全に分離されていること。スタックだけを入れた状態で、各種の認証を取得した共通モジュールを提供するのだ。アプセサリーの開発者は、自分でアプリケーションレイヤーを書き込むことができ、各認証も継承することができる。
「nRF51 ブランクモジュール」は、パートナー企業各社が製品化しており、最小発注単位は500個から、低価格で販売している。中にはブランクモジュールだけではなく、温度や湿度、水位など、標準的なセンサーが組み込まれているものもあり、簡単なアプリケーションであれば、ハードウェア設計のリードタイムなしに、基本的なアプリケーション開発をスタートすることも可能だ。
同社がブランクモジュールを考えたのは、組み込み系のソフトの知識を持ったデベロッパーが多いからだ。自分でSDKを使って上位レイヤを作るという人にとっては、安価に認証済みの器だけ提供されれば、カタチにするまでのハードルを1つクリアしたも同然だ。「組み込み系の言語と、基本的なAPIを習得すれば、比較的簡単に取り組める。これがMAKERSムーブメントの1つの起爆剤になれば」と山崎氏は語る。
「支援」することもムーブメントへの関わり方
MAKERSには、自分のアイデアが製品になって、世の中の人に使われるという夢もある半面、資金調達や量産、販売など、実現までにはいくつもの課題がある。しかし意外と重要なのは「量産準備」だと、山崎氏は言う。
「プロトタイプもできた、工場も見つかった。いざ量産という段になって、とても量産できるようなものではなかったということは少なくありません」(山崎氏)。日常的に量産を行っている企業が調達できる部品と、個人レベルで調達できる部品には、どうしても差がある。夢を目前にして、新たなハードルが突如現れるのだ。
そこで同社ではパートナー企業と一緒に、MAKERSプロジェクトのコンサルティングを始めている。「コンセプトはいいが、この部品では作れないという事態にならないように、量産経験の豊富な工場や開発者に加わっていただき、早い段階から手を打っていく」(山崎氏)という考えで、量産を視野にプロトタイプを作る段階から知恵を貸す。リスクをつぶすだけでなく、実経験に基づいたコスト面のアドバイスや、必要ならば量産工場のアレンジも支援する。
同社では、こうした取り組みに賛同し、一緒にMAKERSを支援してくれるパートナーを募集している。必要な支援は、前述の量産化への準備、金型、量産工場、販売ルートなど、いくつもの局面がある。同社には、海外、特にアメリカの企業からも、「数1000〜数万のロットを、ある程度のクオリティでリーズナブルな費用で生産できる工場はないか」などといった、問い合わせが増えているという。山崎氏は、「自分が何を作れるかというだけでなく、支援するという立場も、MAKERSムーブメントへの関わり方。ぜひ積極的に加わってほしい」と呼びかけている。
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提供:Nordic Semiconductor ASA
アイティメディア営業企画/制作:MONOist 編集部/掲載内容有効期限:2014年2月14日