国内「介護ロボット」市場は2015年度から本格化:市場調査/予測
矢野経済研究所は、高齢者の介護目的に使用される「介護ロボット」について、国内市場規模と今後の推移・予測を発表した。
矢野経済研究所は2014年1月7日、サービスロボットの中で、主に高齢者の介護目的(排せつ支援、食事支援、移乗支援、歩行支援、見守り支援など)に使用される「介護ロボット」について、国内市場規模と今後の市場推移・予測を発表した。
調査期間は2013年10〜12月。介護ロボットメーカーおよび販売会社、研究機関などを対象に、直接面談や電話/電子メールによるヒアリングなどを実施。矢野経済研究所は、この調査結果を「介護ロボットの可能性と将来性 2013」としてまとめ、2013年12月25日に発刊した(税別:15万円)。
本調査の対象となる介護ロボットには、「センシング」「自律制御」「駆動」のロボット3条件を満たすロボットの他、これら技術を応用した福祉機器も含まれる。また、医療機器に属するリハビリロボット、コミュニケーションやセラピーを目的としたロボットは今回対象としていないが、中には機能が重複し明確に区分できないものもあるとしている。
介護ロボット市場、前年度比増でも現場普及はまだ
国内の介護ロボット市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、2011年度が1億2400万円、2012年度が前年度比137.1%の1億7000万円となった。2012年度は数量の拡大に同調して、金額ベースも高い伸びとなったが、絶対額はまだ大きくはない。2012年度の介護ロボット市場を“目的別”にみると、排せつ支援が1億2000万円と全体の70%占め、歩行支援が3000万円、その他が2000万円と続いた。
2013年度の介護ロボット市場規模(メーカー出荷金額ベース)では、前年度比125.3%の2億1300万円を見込むものの、介護ロボットはまだ介護現場にほとんど普及していないのが実態であるという。
国プロが最終製品化を後押し
2013年度には、経済産業省の「ロボット介護機器開発・導入促進事業」の採択事業者が決定し、介護目的のロボット開発と普及事業が開始された。採択事業では、介護ロボットとしての効果はもちろんのこと、安価で使いやすい点が重視され、普及支援が強化されている。採択事業は全部で46件で、その内訳は装着型移乗支援4件、非装着型移乗支援7件、移動(歩行)支援9件、排せつ支援5件、見守り支援21件。今後、国家プロジェクトとして、2015年度までの製品化を目指す。
2020年度には349億8000万円に
2015年度には、介護保険制度の見直しも予定され、介護ロボットの介護保険適用製品が増加すれば、市場拡大の追い風となる。また、要介護認定者の増加、国による普及支援策などを前提に市場はさらに本格化し、国内の介護ロボット市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、2015年度に23億円、2020年度には349億8000万円に拡大するだろうと予測。
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