ハチの背中に超小型RFIDチップ――生物多様性保全のためのユビキタス:TRONSHOW2014
日本大学 生物資源科学部 内ヶ崎研究室は「TRONSHOW2014」において、「生物多様性保全のためのユビキタス」に関する研究成果を披露。西洋ミツバチとクロマルハナバチの背中に、小型RFIDチップを取り付け、RFIDリーダーが設置された通路を通過したハチの個体番号と巣の出入り時間を記録するシステムのデモを実演した。
日本大学 生物資源科学部 内ヶ崎研究室は2013年12月11〜13日の3日間、東京ミッドタウンホールで開催された「TRONSHOW2014」において、「生物多様性保全のためのユビキタス」に関する研究成果を披露。
展示会場では、西洋ミツバチとクロマルハナバチの背中に、3.4×3.4mmの小型RFIDチップ(930MHz、厚さは0.5mm)を取り付け、RFIDリーダーが設置された通路を通過したハチの個体番号と巣の出入り時間を記録するシステムのデモを実演していた。
RFIDリーダーで読み取った情報はPC上の専用ソフトウェア上に表示される。「ハチは必ず巣に帰る(帰巣本能)ので、その性質を利用している。ハチの研究は“群”としての行動が対象となることが多いが、これであれば一個体ごとの行動パターンの解析が可能になる。現在問題となっているミツバチの減少(蜂群崩壊症候群)などの原因解明にも役立てられるのではないか」と説明員。
同研究室では、今後、3000万種ともいわれる地球上の多くの生物にRFIDなどのチップを搭載し、生物の行動をデータ化して、生態環境情報などを保全やさまざまな研究に役立てたい考えだ。
今回披露してくれたハチを用いた研究では、帰巣本能を利用しているためRFIDで記録が取れるが、帰巣本能を持たない生物の場合は、GPSによる位置情報の取得が必要となる。「残念ながら、小さな生物にも取り付けられるような超小型のGPSがまだ存在しない。しかし、将来そのようなGPSが登場したら他の生物への展開だけでなく、例えば、ハチにGPSを取り付け、放射線による環境汚染が広がっている地域に放つことで、人が立ち入らずに環境汚染の状況を確認(GPSによる位置情報とハチに付着した汚染物質の解析)できるようになるだろう」(説明員)。
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