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メイカーズが集合! 3Dプリンタから超小型コンピュータまでMaker Faire Tokyo 2013レポート(2/4 ページ)

電子ガジェット、ギークな手芸、巨大ロボなど、個性あふれる作品が一挙集結した「Maker Faire Tokyo(MFT)2013」。そこでもやはり、3Dプリンタがホットだった。

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芸術利用の専用衛星を3Dプリンタで出力

 3Dプリンタによる出力部品の宇宙利用の可能性を探るプロジェクトも幾つかみられた。「ARTSAT:衛星芸術プロジェクト」は、来年にH-IIAロケットで打ち上げられる予定の人工惑星「DESPATCH」の、実際の5分の1スケールの3Dプリンタ造形モデルを展示していた。


DESPATCHの彫刻部分。らせんが特徴的なデザイン。手作業では簡単には作れない形状だ。回転軸に対してアンテナを斜めにするなどの条件を踏まえながらデザイナー主導でデザインしているという。

 ARTSATとは東京大学が設計を担当し、多摩美術大学が衛星からのデータを使ってメディアアートなどを制作するための、芸術利用専用の衛星プロジェクトである。


プロジェクト・リーダーで多摩美術大学 教授の久保田晃弘氏

 工学博士で多摩美術大学 教授の久保田晃弘氏を中心として立ち上げられた。第1号のARTSATである「INVADER」は2014年1月にH-IIAロケットで打ち上げ予定だ。DESPATCHは第2弾で、太陽を中心とした楕円軌道を取ることから「深宇宙彫刻」と名付けられている。2014年12月にはやぶさ2の相乗り衛星として打ち上げられる見込みだ。相乗り選定に合格した2013年9月から製作を開始しており、2014年10月にJAXA(宇宙航空研究開発機構)に引き渡す予定だという。

 同惑星は1分に1回程度回転しながら進む。打ち上げ後、CWビーコンを約1週間発信し、受信機があれば誰でも信号を受信することが可能だ。構造は3Dプリンタ製の彫刻部、下部の金属製機器格納部分、アンテナなどからなる。衛星として宇宙に運ぶためには材料などに細かい規制がある。3Dプリンタの出力部品は一般的な工業樹脂を使い、塗料は揮発するため使わない。今後、電源の放熱設計や材料の揮発量がどの程度か、打ち上げ時の振動試験、熱変形などの検証を進めていく。

 BONSAI LAB.のブースでは、人工衛星「ほどよし3号」の模型と、オープンソースベース3Dプリンタ「cRoBo3D」、そのプリンタによって出力された同衛星の部品が展示されていた。


BONSAI LAB.のブースに展示されていたオービタルエンジニアリングが開発するオープンソースベースの3Dプリンタ「cRoBo3D」2号機。

ほどよし3号の部品の設計確認にcRoBo3Dを利用している。

 「ほどよし」は東京大学らが開発を進める超小型衛星。その3号機で3Dプリンタによるパーツを使った衛星の設計検証を進めているそうだ。展示していた3DプリンタはcRoBo3Dの2号機。


ほどよし3号の部品の設計確認にcRoBo3Dを利用している。

 プリンタを設計したのは、航空宇宙分野での熱設計に関する専門技術を持つオービタルエンジニアリングである。同社が3Dプリンタを開発しようと考えたのは、3Dプリンタが宇宙利用部品のコストを大きく下げる手段の1つになるであろうこと、また宇宙空間や月面でのモノづくりの可能性を探るためだという。現在、組み立てタイプでの販売を前提として、3Dプリント精度や組み立ての簡易化を進めている。日本発のオープンソースハード3Dプリンタとしての販売を目指しているという。

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