「もはや通信キャリアだけではない」――MontaVista Linuxの新版「CGE7」登場!:ET2013ニュース
モンタビスタ ソフトウエア ジャパンは、パシフィコ横浜で開催された「Embedded Technology 2013/組込み総合技術展(ET2013)」のARMパビリオン内において、MontaVista Linuxの最新バージョン「Carrier Grade Edition 7(CGE7)」を訴求した。
モンタビスタ ソフトウエア ジャパンは2013年11月20〜22日までの3日間、パシフィコ横浜で開催された「Embedded Technology 2013/組込み総合技術展(ET2013)」のARMパビリオン内に出展。同社のLinuxディストリビューション「MontaVista Linux」の最新バージョンで、ET2013開催初日の11月20日より出荷を開始している「Carrier Grade Edition 7(CGE7)」をアピールした。
同製品は、マルチアーキテクチャ(ARMv7/v8、x86、MIPS 64、PowerPC)に対応しており、The Linux Foundationが策定したキャリア向け仕様「Carrier Grade Linux 5.0」をはじめ、IPv6、LSB(Linux Standard Base) 4.1、Yoct 1.4、Linaroといった各種業界標準や認証をサポートする。「CGE7では、Linuxカーネルをこれまでの2.6.32から3.10にした。これは数多くの技術革新に対応するためだ。これにより、最新のセキュリティ、仮想化関連技術などをサポートすることができた。さらに、リブートなしにカーネルのパッチをライブで当てる技術(ライブ・カーネル・パッチング)や最新のパワーマネジメントへの対応などが図られている」とモンタビスタ ソフトウエア ジャパン 代表取締役 染谷裕氏は説明。
“Carrier Grade Edition”という名の通り、本来、通信キャリアを中心とした通信機器関連市場をターゲットとした商用Linuxディストリビューションだが、最近では、「通信キャリア/関連機器メーカーに次いで、複合機(MFP)メーカーからの引き合いも強い」(染谷氏)という。その理由としては、「『とにかく品質』を追い求める通信キャリア向けに長年培ってきた実績、安定性、そして、マルチアーキテクチャ対応、長期サポートなどが他の分野でも高く評価されている点が挙げられる。最新版のCGE7でも、これまでの流れからそのまま『CGE』という名前を受け継いでいるが、今や信頼性・安定稼働を重視されるシステム全般に最適な製品だといえる」と染谷氏。
とはいえ、CGEのメインターゲットは通信キャリヤおよび関連機器メーカーだ。最新のCGE7では、通信キャリアや関連機器メーカーなどが現在開発中の次世代ルータ、スイッチ、セキュリティ&アプリケーションゲートウェイといった機器での利用を想定しているという。さらに、CGE7では、ARMv8アーキテクチャのハードウェアアクセラレーションに対応しており、ネットワーク機能をソフトウェアで制御・仮想化するSDN(Software Defined Network)や、NFV(Network Functions Virtualization)といった、高性能が要求されるクラウド分野での展開にも十分活用できるとする。
その他の取り組みとして同社は、ARM用Linuxカーネルの開発などを行う非営利組織「Linaro」のLinaro Networking Group(LNG)に参加。Linaroでの活動を生かし、CGE7の普及を図ることで、ARMv8アーキテクチャ搭載製品の開発期間の短縮や製品コストの低減を目指し、通信機器メーカーの開発を支援するとしている。ちなみに、ET2013の会場では、富士通セミコンダクターが試作した「Cortex-A15」と「Cortex-A7」を集積したbig.LITTLE対応のチップを披露。この試作チップを搭載した評価ボード上で、Linaroベースのカーネルをブートし、その上でJPEG画像のハードウェアデコードを行うデモを実演していた。
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