MATLAB/Simulink製品の最新版、検証やコード生成のための機能追加:ビジネスニュース 企業動向
MathWorks Japanは、MATLAB/Simulink製品の最新版「リリース2013b」(R2013b)について記者説明会を開催した。電気系(強電)の分野に特化したブロックライブラリ「SimPowerSystems」やPolyspace製品ファミリとして新たに追加された2つのコード検証ツール、およびXilinxのプログラマブルSoC「Zynq」に向けたコード生成ツールといった機能が強化されている。
MathWorks Japanは2013年10月29日、MATLAB/Simulinkの最新版「リリース2013b」(R2013b)における新たな機能などに関する記者説明会を東京都内で開催した。特に、電気系(強電)の分野に特化したブロックライブラリ「SimPowerSystems」やPolyspace製品ファミリとして新たに追加された2つのコード検証ツール、およびXilinxのプログラマブルSoC「Zynq」に向けたコード生成ツールといった機能が強化されている。
R2013bは、2013年9月に発表された。「MATLABプロダクトファミリ」、「Simulinkプロダクトファミリ」、「Polyspaceプロダクトファミリ」などの製品ファミリで機能が強化され、新たな製品も追加されている。今回の説明会では、その中から大きく3つの機能について紹介した。
「SimPowerSystems」をSimscape Languageベースへ
SimPowerSystemsは、これまでSimulinkベースの回路コンポーネントとしてサポートされてきた。R2013bでは機能を拡張し、「Simscape Language」ベースの回路コンポーネントとした。これにより、従来はアダプタを介して接続していた電子回路設計向け「SimElectronics」や自動車トルク伝達系向け「SimDriveline」など、他の回路コンポーネントとも直接接続することが可能となった。また、データロギングやローカルソルバなど、Simscapeが備える機能をそのままSimPowerSystemsでも利用することができる。さらに、三相の電気コンポーネントを1本の線で表示することも可能とした。
Cコードの不具合を検証するPolyspace製品
コード検証のためのツールである「Polyspace」製品は、これまで「Client&Server」と呼ばれていたが、R2013bでは「Code Prover」に名称を変更した。そして新たに「Bug Finder」を追加した。Code Proverはコーティングされたソフトウェアに不具合がないことを証明するツールであり、Bug Finderは静的解析によりソフトウェアの欠陥を特定するツールである。MISRA C/C++などのコーティング仕様に適合しているかどうかの検証を行うことができる。
プログラマブルSoC実装フローに対応
さらに今回、Xilinxと協力して高性能プロセッサコアを内蔵したFPGA製品であるプログラマブルSoC「Zynq」への対応を図った。MATLAB/Simulinkで生成した「Cコード」と「HDLコード」を、Xilinx側の開発環境にダウンロードし、プログラマブルSoCへの実装まで一貫した開発フローの中で行えるようにした。
これまでもMATLABで記述したファイルからHDLコードを自動生成できる「HDL Coder」などは提供されているが、「R2013bは1つのシステムモデルで、ソフトウェアとハードウェアの開発に対応できる初めてのツールである」(MathWorks Japanのインダストリーマーケティング部長を務める阿部悟氏)という。しかも、「プログラマブルSoCにおいては、CPUコアとロジック部を接続する内部バス関連の設計は難しく、何度も繰り返し行われる。R2013bではこうした設計検証を容易とする開発環境が提供できる」と述べた。
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