「勤務地」と「転職先での仕事内容」、どちらを優先するべきか:化学業界専任キャリアコンサルタントが語る! 化学系エンジニアの転職最前線
化学系メーカーの工場・研究所には十分な工業用地・用水・電力が必要。大都市圏に絞らず、希望勤務地の条件を一度外すことで、新たな可能性が見えてきます。
本記事はインテリジェンスが運営する転職情報サイト「DODA」の記事に加筆・修正して転載しています。
化学業界を担当するDODAキャリアコンサルタントの藤井美希です。
10月は多くの会社が下期に突入し、転職市場においては企業が「この半期で年間の採用計画をしっかりと実行したい」と採用活動のギアを入れ直す時期です。今回は、そんな時期にチャンスをみすみす逃さないために、「勤務地の希望はどこまで広げればいいの?」「どこが狙い目の地域なの?」という点を明らかにしたいと思います。
化学企業の多い地域はどこ?
まずは右表のデータをご覧ください。経済産業省「工業統計表」によると、従業員4名以上の事業所を対象とした化学工業の都道府県別出荷額・従業員数のランキングです。必ずしも出荷額のランキング、または従業員数ランキングに社数が準ずるわけではありません。しかし、石油化学コンビナートに近い千葉、大阪、神奈川、山口、岡山、三重が上位を占めており、各社の工場・研究所が多い事実を裏付けています。
皆さんもご存じのことと思いますが、工場・研究所を建設するためには、豊富な工業用地・工業用水・電力などを確保する必要があります。そのため、広大な土地が比較的確保しやすい地方へ化学系の企業が進出する流れがあり、首都圏で研究や開発・生産を行う企業はまれであるということが容易に想像できると思います。
希望勤務地を広げる=チャンスを広げる
今回、DODAからご案内できる化学系技術者の求人の地域分布をあらためて確認したところ、全体の約40%を東海・関西地域が占めていることが分かりました。北関東を含めた関東全域の求人が約43%であることを考えると、転職するチャンスは東海以西にも多くあるということが分かるかと思います。
日々、転職希望者の方とお話をする中で「絶対に首都圏で技術系の仕事に携わりたい」という希望を聞くことが多くあります。このコラムをご覧になっている方の中にも同じように考えている方は多いのではないでしょうか。
でも、「自分はなぜ転職するのか?」ということを思い出してみてください。もし、「こんな仕事がしたい」「こんなキャリアを築きたい」というお気持ちを少しでもお持ちであれば、まずは希望勤務地の条件を一度外して、思い描いた仕事ができる求人を探してみてはいかがでしょうか。
実際に私が首都圏以外へ転職をサポートした方々からは、「住んでみると意外と住みやすく、家賃も安いから気に入っています。住めば都ですね」「子育てをのびのびとできると、妻も喜んでいます」という声が寄せられています。ぜひ、ご家族と一緒に「仕事内容にこだわる転職活動」について、前向きに考えてみてください。
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