3つのモノづくり技術で「次世代植物工場システム」を実現――安川電機が2016年に事業化:ロボット×モーション制御×エネルギー変換
安川電機は、中期経営計画「Realize 100」で掲げる新規事業創出の一環として、第一次産業領域への市場拡大を狙い「次世代植物工場システム」の研究開発に着手。2015年の創立100周年に向けて研究開発を加速させ、2016年よりシステム販売事業をスタートさせる計画だ。
安川電機は2013年10月9日、同社の中期経営計画「Realize 100」で掲げる新規事業創出の一環として、第一次産業領域への市場拡大を狙い「次世代植物工場システム」の研究開発に着手したことを発表した。
日本国内では、農業就業人口の減少や食糧自給率の低下が進んでいる他、東日本大震災の発生に伴う東京電力・福島第一原子力発電所の事故以降、「食」に対する安全・安心意識が高まっている。一方、海外では、発展途上地域を中心とした爆発的な人口増加、中東・アフリカ地域の砂漠化、さらには農薬による土壌汚染などの問題により、世界的な食の需給バランスが変化しつつある。そのため、現在、農地以外における栽培や、天候変動に左右されずに安全・安心な無農薬野菜の栽培が可能な植物工場に注目が集まっており、大量生産できる植物工場システムへの期待も一層高まっている。
こうした背景から、同社は長年のモノづくりで培った「モーション制御技術」「エネルギー変換技術」「ロボット技術」を結集し、安全・安心な野菜の大量生産が可能な、“安川電機が考える次世代植物工場システム”の実現に向けて研究に着手。2015年の創立100周年に向けて研究開発を加速させ、2016年よりシステム販売事業をスタートさせる計画だという。
なお、同社が公開している中期経営計画の資料によると、新規事業として「太陽光パワーコンディショナ」の商品拡充と新市場への展開、「自動車等電気駆動システム」の用途拡大と海外市場の獲得、「大型風力発電用電機品」の商品拡充と洋上風車市場への展開、「バイオメディカルロボットシステム」の開発、「医療・福祉機器」の開発と市場創出なども挙げられている。
ロボット開発の最前線
関連記事
- 「ロボット大国だとは全く思っていない」〜産業用ロボット世界シェアNo.1の安川電機(前編)
日本は産業用ロボットの出荷台数・稼働台数で世界一を誇る。一番多く作って、一番多く使っているのだ。自動車の大量生産を追い風に、1970年代後半、国内で初めてオール電気式の産業用ロボットを発売し、今なおロボット開発に情熱を注ぎ続ける安川電機に、産業用ロボット市場の動向について伺った。 - 「町工場にもロボットが普及していく」〜産業用ロボット世界シェアNo.1の安川電機(後編)
産業用ロボットの雄、安川電機は産業用ロボットを中核としつつ、単能工型から多能工型への転換を図り、サービス業にまでロボットを普及させる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.