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サイクリストのハートをわしづかみ、ボルボとスバルは自転車にもぶつからない今井優杏のエコカー☆進化論(4)(3/3 ページ)

自動車ジャーナリストの今井優杏さんが、独自の切り口で最新のエコカーや搭載技術を紹介する本連載。今回は、クルマや歩行者だけでなく、自転車との衝突も回避できる、ボルボの「サイクリスト検知機能」とスバルの「アイサイト」を取り上げる。

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100%の依存は禁物

 さて、ボルボとスバルの安全システムの信頼性ですが、ズバリ言ってどちらも得手不得手があります。

 カメラを使うスバルのアイサイトは天候に左右されやすいと言われています。じゃあアイサイトがカバーできない部分をボルボのサイクリスト検知機能を含む「ヒューマンセーフティ」が完璧にこなすかと言えば、カメラが汚れても、レーダー照射口が汚れても、正常に動作しませんから、まさに「状況による」んです。

 残念ながらというべきか、今後の発展が楽しみと言うべきか、これらの安全技術は100%依存できるものではありません。まだまだ、これから進化していく過程にあると思ってください。

 ただし、価格でいえばボルボのヒューマンセーフティを含むセーフティーパッケージが20万円、スバルのアイサイトが10万5000円。どちらもターゲットとしている顧客層が違いますので、比べるのはちょっとやぼな話ではありますけれども。

誰もが事故を起こす可能性がある

 冒頭に述べた例でいえば、私は行楽シーズンの事故渋滞のために東京都内〜静岡県にある富士スピードウェイまで、クルマで通常2時間程度の距離を6時間かけてたった1人で走ったことがあります。その時は3台の乗用車が絡む大きな事故で、ひたすら続く渋滞による追突などの二次/三次事故が重なり、惨憺(さんたん)たる状況でした。しかも当時の愛車はマニュアル車……。富士スピードウェイに到着したころには、ガックリと疲労困憊(こんぱい)この上ない危険な状態に。

 こういう状態になれば、いくら普段からクルマを運転している私だって、事故を起こさないとも限りませんよね。

 読者の皆さまにも、それだけは理解していていただきたいのです。クルマは、大きな喜びや官能、利便性を兼ね備えた、素晴らしい文明の利器です。しかし、人間が作って人間が操作する以上、まだ完璧ではありません。

 誰もが事故を起こす可能性があるし、誰でも事故に巻き込まれる可能性があるということをいつも忘れないでいてください。

一瞬の油断による事故を避けるための安全技術

 とはいえ、いくらボルボが完全に事故を回避するクルマを2020年に完成させると宣言していても、実際の道路にはボルボ以外のクルマの方が多いということです。

ボルボの「VISION 2020」
ボルボは、2020年までに自社の新型車両による交通事故の死者や重傷者をゼロにする「VISION 2020」の達成を目標としている(クリックで拡大) 出典:ボルボ・カー・ジャパン

 確かにこの数年でクルマの安全技術は大きく大きく飛躍しました。そのおかげで防げた事故も既にたくさん存在すると思います。

 しかし原点に立ち返って考えれば、交通事故が発生するのは、安全技術を搭載していない止まらないクルマのせいではありません。きちんと止めるべきところで止められないドライバーの不注意や散漫をまず問うべき。なにも事故を起こした人を責めてるんじゃないです。その一瞬の油断について言っておきたいのです。罪を憎んで人を憎まずって感じでね。

 皆さんもご存じの通り、ちゃんと集中して、交通社会全体を考えた思いやり運転をしていれば、防げる事故はとても多いのですから。

 そして安全技術は、そういった一瞬の油断による事故を避けられるように手助けしてくれるエマージェンシーなもの、と捉えていただきたいのです。先進技術にただべったり甘えるような心理は、まさに国土交通省が「ドライバーの過信を招く」という理由から、自動ブレーキによる完全停止を認めなかった指針につながったりしてしまう。

 まるで新幹線や電車に乗るかのように、安心しきって自動運転をクルマに任せられるのは、まだ先の話です。

 そうそう、自動ブレーキの付いているクルマに既にお乗りの皆さまにもう1つ。ちゃんとブレーキパッドの交換をしてくださいね! 自動ブレーキは、普通の人間が踏めないような踏力でブレーキを踏みますから、ヘタったパッドでは逆にキケンですよ。

プロフィール

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今井 優杏(いまい ゆうき)

レースクイーン、広告代理店勤務を経て自動車ジャーナリストに転向し、Webメディア、自動車専門誌に寄稿。そのかたわら、モータースポーツMCとしての肩書も持ち、サーキットや各種レース、自動車イベントなどでMCも務め、日本全国を飛び回る日々を送っている放浪系女子。自動二輪と自転車、両方の意味でのバイク好きでもある。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員、2013〜2014日本カーオブザイヤー選考委員。



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