自動車・自動車部品メーカーで進む、素材開発の内製化。その背景とは?:化学業界専任キャリアコンサルタントが語る! 化学系エンジニアの転職最前線
一見、全く関係なさそうに思える「化学」と「自動車」ですが、実は非常に密接な関係があり、化学系技術者を積極採用する自動車関連企業も増えてきています。
本記事はインテリジェンスが運営する転職情報サイト「DODA」の記事に加筆・修正して転載しています。
化学業界を担当するDODAキャリアコンサルタントの高村光児です。
さて、今回は「化学」と「自動車」の関係にスポットを当てたいと思います。「化学」と「自動車」は全く関係なさそうに思えますが、非常に密接な関係を持っています。例えば、毎年、公益社団法人自動車技術会が開催している「人とくるまのテクノロジー展」には、三菱ケミカルホールディングスグループ、住友化学、昭和電工、デュポングループ、東レなど大手化学メーカーの出展も目立ちます。
では、具体的にどのような関係があるのでしょうか。
例えば東レでは、車体などに使われる「鉄」に代わる素材として「炭素繊維」を開発・提供しています。炭素繊維は鉄よりも軽く、比重は、鉄は7.8あるのに対し、炭素繊維は1.8なので、約4分の1の軽さです。それでいて鉄の約10倍の強度があるため、自動車に利用できれば燃費性能・安全性共に高まることになるのです。
また、三菱ケミカルホールディングスグループでは、強化プラスチックを自動車の車体やエンジン部分に、住友化学では触媒を利用して排ガスフィルターを作っています。強化プラスチックをエンジンに使うためには熱に強くなければならず、高温でも溶けないプラスチックの開発が重要になってきます。また、排ガスフィルターも排ガス内に含まれるすすを、より吸着できるように精度を高めています。
化学系の研究開発を仕事にするため、自動車メーカーに転職するのも一手
一方で、自動車メーカー、サプライヤーでも化学系技術者を積極採用する企業が増えてきました。これには、材料メーカーから素材を仕入れて製造していれば売れた時代から、顧客視点・環境観点で考え製造しなければ車が売れない時代に移行しているという背景があります。そのため、自動車メーカーやサプライヤーではできる限り素材開発も内製化したいという思惑があり、素材の観点で技術開発ができるエンジニアが求められているのです。
世界の車の生産台数は2012年に8100万台を突破するなど、順調に伸びています。また、自動車メーカーやサプライヤーの業績も好調です。その影響もあってか、「自動車」に関連する化学系の求人数は増加しています。特筆すべきは、化学メーカー以外の企業で研究開発ができるということです。「現職は研究開発ができる環境にないが、もっと研究開発をしたい」という化学系技術者にとっては、今が転職のチャンスかもしれません。
具体的にどのような求人があるのか、関心がある方はぜひ私たちキャリアコンサルタントにご相談ください。
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