これがFablabスタイル! 世界中の人たちによるワイガヤモノづくりキャンプ「Fab9」:世界Fablab代表者会議Fab9レポ【後編】(2/4 ページ)
2013年8月21〜27日の7日間、世界のFablab運営者(Fablabマスター)が集まる「第9回 Fablab代表者会議(Fab9)」が、横浜で開催された。今回は、「会議」というか「キャンプ」といった雰囲気の同イベントの内容をお伝えする。
ワークショップにてアイデアを出し合う
午後にはテーマごとに分かれてワークショップが行われる。
授業のようにPCを前に工作機械の使い方についてより深く掘り下げるワークショップ、各Fablabの事情を交換しながらホワイトボードにキーワードを書いていくワークショップ、その場で部品を作ってしまうワークショップなど、やり方はさまざまだ。
半分のワークショップはテーマが決められているが、残り半分のワークショップは「Fab Foo」として、その日に参加者が自分たちでテーマを出し合い、いきなり行われる。不思議なことに参加者がどこかに偏ることもなく、どの席も同じぐらいの人気。
ワークショップ「Fablabを立ち上げ、運営し、終了するまで」では、さまざまな意見が交換された。
- 「Fablabを取り巻く関係者と、Fablabの利用者の間にはほとんど境目がない。双方の立場でものを考えなければいけない」
- 「Fablabをやるときの必須機材はなんだろう?」
- 「補助金を受けることは可能かもしれないが、補助金を当てにするFablabは長続きしない」
- 「Fablabと単なるの設備貸しとの違いは?」
- 「他のFablabを経験したり、住み込んだりしてから始めたほうがよい」
- 「Fablabが継続するためには、Fablab内で世代交代が行われなければならない」
- 「イスラエルでは若い世代が、100時間地域サービスを行うことで、Fablabの講義を無料で受けることができる」
- 「アメリカでは高校生・中学生が小学生に教えるシステムがある」
- 「(リサイクルの文脈で話をしているときに)アメリカではハリケーンで街が破壊されたことがきっかけで、みんなが廃材で物を作りはじめた。状況が人を変えることがある」
- 「ワークショップをどうやって運営している?」
- 「Fablabの活動、ドキュメントをどのような形で記録して残していく?」
- 「プロジェクトを開始するときにデポジットを設けて、ドキュメントを残すとデポジットを返すみたいなことをやっている」
……などなど、それぞれの国や立場から「どうやってFablabを運営し、継続するのか」について意見が直接開示される。気が付くと壁は出たキーワードを書いた紙でいっぱいになっていた。
ワークショップの終了後も参加者は我先にホワイトボードに電子メールアドレスを書き、積極的に連絡先を交換していた。
「モノづくり」と「楽しい」があふれるFab9
Fab9ではプレゼン、ワークショップ、ディスカッションと盛りだくさんのプログラムが連日続き、全体は熱気に満ちていた。
みんなで料理を作るFood workshop
夜にはFood workshopが開かれる。今年は日本での開催なので、「太巻き」「うどん」「お好み焼き」「鉄板焼き」「カレー」など、日本を代表する(!?)食べ物がテーマ。自分が参加したいワークショップを志願した世界各国からの参加希望者が集まる。
僕が参加した日のテーマは「太巻き」。レーザーカッターで刻印された特別の巻きすの他、食材が各テーブルに配置されている。
巻きすは板をレーザーカッターで切って作られ、モノづくりレシピ共有サイトThingiverseで共有されている。
日本人がいないテーブルがほとんどの中、方眼紙に太巻きの設計図を書きながらの太巻きづくりが始まったが、ほとんどのチームが見事に太巻きを完成させていた。
他にも会期中には、以下のようなワークショップが開催された。
- カッティングマシンで音の刻まれたレコードを切り出すワークショップ
- Super Fablabの設備を使った鋳造フィギュアづくり
- 工作機械そのものを作るワークショップ
- 工作機械をHackするワークショップ
- 平面の形状を立体に起こすためのワークショップ
- 折り紙を体験するワークショップ
中には、もともと予定になかったワークショップがいきなり始まる場合もあった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.