サザン復活とコラボした「ゴルフ7」は化け物のようなクルマだった!:今井優杏のエコカー☆進化論(2)(2/3 ページ)
自動車ジャーナリストの今井優杏さんが、独自の切り口で最新のエコカーや搭載技術を紹介する本連載。今回は、復活なったサザンオールスターズの出演CMでも注目を集めている、フォルクスワーゲンの7代目「ゴルフ」(ゴルフ7)を取り上げる。
ダウンサイジング過給のパイオニア
さて、今回のゴルフには排気量が1.2l(リットル)と1.4lのTSIエンジンが用意され、7速DSGトランスミッションが組み合わされています。
今や、
(ダウンサイジングエンジン+直噴)×過給システム=低CO2排出かつ良好な燃費の車
という図式はすっかり世界中のトレンドとなり、ハイブリッドシステムのような電気的な補助のないエンジン車において、もはやこの技術は王道となりつつあります。
例えばアルファロメオの「ジュリエッタ」。これは排気量1.4lのターボ車ですし、ダイムラーの「メルセデス・ベンツ」ブランドでも、排気量1.6lのエンジンにツインチャージャーを採用しています。BMWも「3シリーズ」に、ツインパワーターボエンジンを採用するなど、エトセトラ、エトセトラ。
しかし、そもそもこの図式を“走りと燃費の両立”という着眼点で、最初に市場に投入してきたのはフォルクスワーゲン。まさにダウンサイジング過給エンジンのパイオニアなんです。
厳しくなり続ける欧州の排気ガス規制(欧州ではCO2排出量が基準になります)とともに、大排気量の自然吸気エンジンから突如方向転換を図り、ターボチャージャーとスーパーチャージャーによるツイン過給エンジンを採用したのが2005年。
当時でももちろんターボやスーパーチャージャーは珍しい技術ではありませんでしたが、それまでは出力向上のために使うのが一般的でした。
それを、ディーゼルエンジンの直噴技術をガソリンエンジンに適用して“薄く噴いて空気を混ぜてしっかり燃やす”ことに加え、ギヤが交互に配置されたデュアルクラッチのDSGトランスミッションにより低回転数でも早めのシフトアップを行えるようにして、低燃費を達成しました。
先代の6代目ゴルフでは、公道試乗でその性能をきっちり実感できたのですが、なんとエンジンの回転数が2000rpm以上にならないんですよ。すぐに高いギヤに勝手にシフトアップし、回転数を低く抑えちゃう。7速までそれを繰り返したら、高速道路でもすでに法定速度に達していますから、回転数を高くしようがないんですね(もちろん低いギヤのときに強く踏み込めば、ちゃんと引っ張って高回転数を維持する走行もできましたが)。
エコドライブを心掛けなくても勝手に低燃費になってしまう。当時のメモを見返してみますと、実走行燃費で23.0km/lという結果が残されていました(排気量1.4lエンジン搭載の「コンフォートライン」、エコドライブを実践し、東京都内で8月に試乗。公式カタログ燃費は10・15モードで16.2km/l)。
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