工学院大学が新開発のソーラーカーを公開、豪州3000km縦断レースの優勝目指す:レギュレーション変更で優位に
工学院大学は、新開発のソーラーカー「PRACTICE」を公開した。このPRACTICEで、世界最大規模のソーラーカーレース「World Solar Challenge(WSC) 2013」に初出場し、優勝を目指す。
工学院大学は2013年7月23日、新たに開発したソーラーカー「PRACTICE」を公開した。このPRACTICEを駆って、オーストラリアで2013年10月6〜8日に開催される世界最大規模のソーラーカーレース「World Solar Challenge(WSC) 2013」に初出場し、優勝を目指す。
PRACTICEを開発したのは、工学院大学 工学部機械システム工学科 准教授の濱根洋人氏が監督を務め、総勢34人の学生が所属する同大学のソーラーカープロジェクトである。
従来のソーラーカーは、タイヤの摩擦抵抗とボディの空気抵抗を減らすために、三輪/高重心かつドライバーが寝そべって運転するのがあたり前だった。これに対して、2009年に発足した同プロジェクトは、安全性と実用性を追求し、四輪/低重心かつ、ドライバーが座席に座って運転するというコンセプトのソーラーカーでレースに挑戦。国内大会「World Green Challenge(WGC)」の2011年大会では2位に入り、2012年大会では優勝するなど実績を積み重ねてきた。
理念の実践/実用化を意味するPRACTICEは、WGCで使用してきた1号機で得た知見やノウハウを基に、34の企業/団体の協力も得て開発された。四輪/低重心のコンセプト維持しつつ、WSCでの優勝を目指して、全長4.5×全幅1.8×全高1.1mのパッケージに、太陽光発電パネルやバッテリー、モーターなどを組み込んだ。
2013年大会から四輪がレギュレーションに
WSCは、太陽光発電パネルから得た電力のみを動力源とするソーラーカーを使って、オーストラリア北部のダーウィンから南部のアデレードまで、総延長3021kmの距離を縦断しそのタイムを競い合う、世界で最も有名なソーラーカーレースである。
2013年大会からは、ソーラーカーを四輪にすることや、運転席の設置、ドライバーの視界確保などレギュレーションが大幅に変更された。工学院大学のソーラーカープロジェクトが、四輪のソーラーカーについて5年間蓄積してきた経験を生かせることもあり、PRACTICEが活躍する可能性は高い。
なお、同プロジェクトでは、WSC 2013参戦に向けた支援募金を募集している。支援募金の詳細は工学院大学のWebサイトで確認できる。
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