英国の自動車試験研究機関がテクノロジーパークを開設、「ドイツより利点多い」:ビジネスニュース
英国の自動車試験研究機関であるMIRAは、テストトラックなどの試験施設に隣接する敷地に、ユーザー企業が入居して効率よく研究開発を進められるテクノロジーパーク「MTP(MIRA Technology Park)」を開設した。
英国企業のMIRAは、全長約100kmの試験走行路(テストトラック)や車両の衝突安全性を確認できるクラッシュラボなどの施設と、約550人のエンジニアを抱える自動車試験研究機関である。
同社はこのほど、試験施設に隣接する敷地に、ユーザー企業が入居して効率よく研究開発を進められるテクノロジーパーク「MTP(MIRA Technology Park)」を開設した。既に、英国を代表する自動車メーカーのJaguar Land Roverや二輪車メーカーのTriumph、トヨタ自動車、インドの商用車メーカーAshok Leyland、大手ティア1サプライヤのRobert Bosch、Continental、TRWなどが入居している。
MIRAのコマーシャルディレクターを務めるTerry Spall氏は、「現在、グローバル展開している自動車メーカーやサプライヤは、アジア、米国、そして欧州の3地域に研究開発拠点を設置するようになっている。もし、日本の自動車メーカーやサプライヤが欧州に研究開発拠点を設置する計画があるなら、ぜひMTPを検討してほしい」と強調する。
Spall氏は、MTPに研究開発拠点を設置するメリットを3つ挙げる。1つ目は、MIRAの試験施設が隣接していることによる利便性である。「MTPとの競合として、ドイツの工業団地などが考えられるが、テストトラックの隣に拠点を構えられるようなところはない」(同氏)。
2つ目は、税金面での優遇である。MTPは、英国の自動車産業関連では唯一、法人税が減免されるエンタープライズゾーンに指定されているのだ。Spall氏は、「ドイツと比べても税金の支払いは安く済む」と説明する。3つ目は、MIRAとの関係が深いJaguar Land Roverとの接点が得られることである。「Jaguar Land Roverは、自社の研究開発拠点の近くにサプライヤにも入居してほしいと考えている」(同氏)という。
MTPへの初年度の入居費用は、スモールオフィスからのスタートで3万〜5万ポンド(約455万〜758万円)となっている。さらに、MIRAの試験施設もディスカウント価格で利用できるという。
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