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月に向かって「苗木」を撃ち込め!――NHK大学ロボコン2013決勝は近年まれに見る名勝負に(1/3 ページ)

大学生がロボット作りの技術力や戦略を競う「NHK大学ロボコン2013」が開催された。2台のロボットを駆使し、制限時間内に地球を緑の「木の葉」で埋め、いち早く「苗木」を月に着地させることができたのはどこの大学か?

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NHK大学ロボコン2013

 「NHK大学ロボコン」(主催:NHK、NHKエンタープライズ)が2013年6月9日、国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催された。

 NHK大学ロボコンは、「ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト」(ABUロボコン)の国内予選として実施されているロボット競技会で、開催は今回で12回目を迎える。全国の大学から21チームが集まり、アイデアや技術を競った。


北は北海道から南は長崎県まで、日本全国の21大学が出場した
北は北海道から南は長崎県まで、日本全国の21大学が出場した 【※画像クリックで拡大表示】

フィールドはシンプルになったが……

 NHK大学ロボコン/ABUロボコンの競技課題は、毎年ガラリと変わるのが特徴である。人間が操縦する「手動ロボ」と、自律で動く「自動ロボ」が協力して課題をクリアするということだけは変わらないのだが、その年のABUロボコンの開催地にちなんだ競技内容になるのが恒例となっており、フィールドやルールなどは毎回まったく新しくなる。

 基本的なルールが変わらない競技だと、徐々に「勝てるスタイル」に集約しがちだが、毎回内容が一新されるため、「定石」のようなものができにくい。逆に言えば、優勝するためには、いかに斬新で優れたアイデアを出せるかが重要なわけだ。観客側からすれば、バラエティーに富んだロボットを楽しめるというのが見どころの1つといえるかもしれない。

 今回の競技課題は「THE GREEN PLANET(グリーンプラネット)」。筆者は2年前から、会場でNHK大学ロボコンの取材をしているのだが、今大会のフィールドを会場で見た第一印象は、「えっ、これだけ?」である。例年のように、立体的な起伏や装置などはなく、ただ1箇所、棒が立っているだけだ。

 ルールもシンプルになった。以下、競技課題について、順番に説明していこう。

 2チーム()による対戦形式であるのは従来通り。より早く課題を達成したチームが勝者となるが、両チームとも3分間の制限時間内に達成できなかったときは、その時点での得点が多い方が勝ちとなる。3チームずつ7つのグループで予選が行われ、1位の7チーム+ワイルドカード1チームによる決勝トーナメントで優勝が争われる。

 フィールドは、1辺13mの正方形の四隅を切り落としたような形の八角形。その中央を、チームとチームのエリアを分ける境界線が走っており、ロボットはそれぞれ、自陣内でのみ動かすことができる。フィールドの中央には、直径8.5mの大きな「地球」が描かれており、この中に入ることができるのは自動ロボだけだ。

今回の競技フィールド
今回の競技フィールド。前回大会などに比べると、非常にシンプルだ 【※画像クリックで拡大表示】

 ロボットは、手動ロボと自動ロボが1台ずつとなる。最初に動くのは手動ロボ。“南端”の「木の葉置き場」に行き、「木の葉」を取ったら、それを“南半球”にある3つのリングの中に置く。リングが全て木の葉で埋まれば、次は“北半球”のリングだ。“北半球”は自動ロボが担当するので、手動ロボは自動ロボのために木の葉を運んでやる必要がある。

 木の葉を受け取った自動ロボは、“北半球”にある4つのリングのうち、3つのリングに木の葉を入れれば、“北極”に置いた「苗木」を取ることができる。苗木は手動ロボに渡され、手動ロボはそれを「月」に向けて発射。見事その上にピタリと乗れば、課題のグリーンプラネット(GP)達成となる。

フィールドの“南端”には木の葉置き場がある「地球ゾーン」の上には、木の葉を入れるリングが設置されている (左)フィールドの“南端”には木の葉置き場がある。「木の葉」のサイズは直径25×高さ20cm/(右)「地球ゾーン」の上には、木の葉を入れるリングが設置されている。リングの内径は35cm 【※画像クリックで拡大表示】

この高さ1.5mの小さな台が「月」3本の「苗木」は各チームが自分で用意する (左)この高さ1.5mの小さな台が「月」。「苗木」を飛ばして、この上に乗せなければならない/(右)3本の「苗木」は各チームが自分で用意する。これは金沢工業大学チームのものだ 【※画像クリックで拡大表示】

 一見、シンプルになったフィールドであるが、実は自動ロボにとっては、見た目ほど簡単ではない。従来、フィールドには“目印”となる白線がマス目状に引かれていたのだが、今回は地球上に曲線状の“経線”と“緯線”があるだけ。単純なライントレースだけでは正確な移動が難しく、競技では“迷子”になる自動ロボも多く見られた。

 また、5m以上も離れた場所から、直径50cmしかない月の上に苗木を乗せるという最後の課題も、決して簡単ではない。見た目はシンプルでもやってみると難しい――それが今大会の競技課題といえるかもしれない。

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