データから正しく情報を取り出す方法を知っていますか?:タグチメソッドのデータを解析しよう(2)(2/5 ページ)
データ、データっていうけれど、情報をいくら持っていても使いこなせれなければ意味がありません。データはあってもちっとも品質が良くならないケースがどこの企業もありますよね。実はデータから有効な情報を取り出し、効果的に活用する方法があるんです。
変動という塊で考える
さて、数式2-1をもっと単純に表現してみましょう。データの2乗をデータ数で割ったものを「変動」という言葉で表現してみます。
例えば、数式2-1第1項(a +b )2/2 は、「aとbの和の変動」というように表現します。
変動という言葉は少々分かりにくいですが、情報を持っている塊(ユニット)だと考えてください。ですから1個のデータの2乗であるa2 でも、分母にデータ数の1があると考えると「aの変動」と言うことができます。b2も同様に「bの変動」ですね。
従って数式2-1は、以下のように言い換えできます。
データaの変動 + データbの変動 = 平均値の変動 + ばらつきの変動
(変動 = データの2乗 / 含まれるデータの数 )
要するに、変動の形にすると分解が容易にできるのです。
記号で表現するとスッキリ
ここで変動を記号「S」 で表現してみましょう。すると、もっとすっきりした式になります。全変動「各データの変動の総和(全体の変動)」をST、「平均の変動」をSm、「ばらつきの変動」をSeとします。すると数式2-1は、以下のように簡潔になります。この式は覚えておいてください。今後もよく出てきます。
a、b という2個のデータに含まれる2個の情報は、変動という形で表現することにより、平均値とばらつきの2個の情報に分解できるということです。変動という言葉は、少々分かりにくいですが、実は非常に便利な概念です。ぜひ、理解して活用ください。
ばらつきの計算も簡単になる
変動という考え方を、今度はデータが3つ(a ,b ,c )の場合で考えます。すると変動に分解する式は、以下のようになります。
データaの変動+データbの変動+データcの変動=平均値の変動+ばらつきの変動
a2+b2+c2=ST(全変動)ですから、つまり、ST=Sm+Se です。
この式の中で最後の項の「ばらつきの変動」だけは、計算式が分かりませんね。でも安心してください。以下のようにすれば、簡単に計算できます。ばらつきの変動を、計算式が分かっている項目の組み合せで表現するのです。
数式2-2を(ばらつきの変動=全変動−平均値の変動)と変形します。
つまりSe = ST − Smです。
この式を見ると、データがどんな数字であっても、全データの変動の和(全変動)から平均値の変動を引けば、ばらつきの変動が求められることが分かります。つまり、ばらつきの変動は、直接計算しなくても簡単に求められるのです。2乗和を使う目的は、ばらつきの大きさを求めるためなのです。
この式の意味はよく覚えてください。これを応用する場面は、これからも出てきますから。
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