検索
ニュース

米国不正競争防止法で輸入禁止措置も――サプライヤの無許諾知財使用をチェックしていますか?知財ニュース(2/2 ページ)

米国の各州が不正競争防止法による無許諾知財への規制を強めており、違法ソフトなど無許諾知財を利用して製造した企業に対し、罰金や輸入差し止めなどのリスクが強まっている。国際法律事務所のホワイト&ケース法律事務所はセミナーを開催し「製造業はサプライヤも含めた管理を徹底すべきだ」と警鐘を鳴らした。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

当事者が違反していないケースでも制裁金

 例えば、タイの食品加工会社ナロン・シーフードは、2012年に違法ITの使用を米国マサチューセッツ州で指摘され、1万ドルの民事制裁金を課す法的措置が取られた。この事例では、ナロン・シーフードそのものが違反を認識していたわけでなく、同社が委託していたITアウトソーシング先が違法ソフトを利用して同社のシステムを構築していたことによるものだったが、摘発に至った。最終的に民事制裁金と同額を支払うことで和解している。

在タイ米国大使館商務部 米国特許商標局 東南アジア知財担当官のピーター・ファウラー氏
在タイ米国大使館商務部 米国特許商標局 東南アジア知財担当官のピーター・ファウラー氏

 また、2013年に入ってからも、カリフォルニア州で、デザイン業務においてライセンスのないソフトウェアおよびITを利用したということで、中国とインドの衣料品製造企業で訴訟が提起されているという。

 在タイ米国大使館商務部 米国特許商標局 東南アジア知財担当官のピーター・ファウラー氏は「既に複数の州において、州の経済に基づく影響を考慮し、外国の輸出業者を相手取った不正競争の事案について調査中だ。今後の訴訟のブームは部品製造業者やサプライヤーを相手取ったものになるだろう」と指摘する。

企業が取るべき対策とは?

CREATe.org日本代表の名取勝也氏
CREATe.org日本代表の名取勝也氏

 これらの状況に対して取るべき対策とはどういうものがあるだろうか。

 米国のNPO法人CREATe.org日本代表で弁護士の名取勝也氏は「企業の取りうる対策は5つある」と指摘する。以下がその5つだ。

  1. サプライヤの調査や選別を強化すること
  2. サプライチェーンに対してポリシーを明示しサプライヤから法律遵守の証明書や誓約書を締結すること
  3. 違反時の罰則や改善策を用意しておくこと
  4. 監査の強化
  5. グローバルSCM戦略の再構築をすること(海外に出さないことなども検討する)

 名取氏は「日本企業もサプライチェーンのグローバル化が進む中、全てをコントロールすることは難しくなっている。その中でどうやってリスクを低減させていくのか、という考え方が大事だ」と話す。

 不正防止競争法による摘発は現状、和解で解決するケースがほとんどで、まだ裁判を行い結果に至るケースは出ていないという。しかし同様の動きが米国各州だけでなくカナダにも広がる動きが見せている。北米ビジネスを展開する製造業にとっては、注意が必要だ。

前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る