JTフォーマットの開発の狙いと仕様:ISO国際規格に承認されたJTフォーマットとは(1)(3/4 ページ)
3D製品情報の可視化を軽量なデータフォーマットで提供できるJTフォーマットが国際標準化機構(ISO)に承認されました。JTフォーマットとは一体どういうもので、どういう仕様なのでしょうか。本連載ではJTフォーマットの仕様や開発の狙い、定義や構造などを取り上げます。第1回目となる本稿では、概要や開発目的について紹介します。
アーキテクチャ、データ・モデル、フォーマット仕様
JTデータは単一のJTファイルとしても、または複数のJTファイルとして構成できます。各JTファイルには様々なJT関連情報を含められます。また、コンテンツの非同期ストリーミングをはじめとするさまざまな配信方法をサポートできるように構成されています。
JTデータ・モデルは、アセンブリ構成、サブアセンブリ、パート、インスタンスなどの広範なエンジニアリング・データを表現することができます。これらのデータは、ファセット・データのみとして最軽量化することも、またNURBSジオメトリ表現や製品構成、属性、メタデータ、PMIなどを保持する非常にリッチなデータにすることもできます。さらに、複数のテッセレーションやLODの生成もサポートします。
製品構成の階層とJTファイル構成との間では任意の関連を保持することが可能です。製品構成階層内の任意のノードを任意のJTファイルの開始点として指定することができます。すなわち、JTファイルをさまざまに構成して製品構成を表現することができます。
JTフォーマットのコアとなっているのが、CAD特有のノードと属性情報をサポートするシーングラフです。ファセット情報(三角形)は高度なジオメトリ圧縮技術で保存されており、照明、テクスチャー、マテリアル、シェーダー(CgやOGLSL)などもサポートされています。さらに、製品加工情報(PMI)、精密なパート定義(B-Rep)、メタデータのような多種多様な表現構成もサポートされています。その他にも、コンテンツの非同期ストリーミングを含むさまざまな配信方法をサポートできるようにJTフォーマットは構成されています。
•製品構成:アセンブリ、パート、インスタンス
•ファセット:ポリゴン、ポリゴンセット
•照明:光源セット、点光源、無限遠光源
•テクスチャー
•精密なジオメトリとトポロジー:点、曲線、サーフェス、フェース、ループ、エッジ、頂点
•境界表現(B-rep):JT B-repまたはXT B-rep(Parasolid)フォーマット
•ジオメトリ・プリミティブ:直方体、円柱、三角錐(すい)、球体
•製品加工情報(PMI):GD&T、3D注記
•属性/プロパティ:テキスト、整数型、浮動小数点型、日付、レイヤ
•メタデータ:プロパティ・フィルタ、位置情報、境界ボックスの定義
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