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第21回 装置の電源前田真一の最新実装技術あれこれ塾(2/3 ページ)

実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第21回は、消費電力へのさまざまな要求が高まる中で注目されてきた「装置の電源」について解説する。

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3. DC-DCコンバータ

 昔は多くのロジックICの電源電圧は5Vに統一されていました。その後、消費電力とノイズの低減のため、3.3V系の論理ICが普及し、電源電圧の混在がはじまりました。現在ではICの消費電力を低減させるためと、ICの微細化による絶縁耐圧の低下によりICの内部回路の電源電圧は徐々に低下しています。しかし、IC間のデータ転送や装置外部との信号のやり取りのためのバスでは、IC間、装置間でのバス規格が決まっています。この規格には、当然、信号や電源の電圧が含まれます。

 このように、最新のシステムでは、各LSIの内部回路の電源電圧、おのおののバスの電源電圧がばらばらになってきています。当然、システムはこれら多くの電源電圧を全て供給する必要があります。

 電池駆動システムや外部電源から特定の電圧の直流電圧を供給されるシステムでは、供給された直流電圧から多くの直流電圧を作り出します。

 このような直流電圧から異なる直流電圧を作成する電源回路がDC-DCコンバータです。DC-DCコンバータの技術進歩により、ノイズの発生が小さく、小さな回路面積で電源が作れるようになり、基板上で、必要な電圧を作る電源回路が多く作られるようになりました。

4. 電源電圧の安定

 また、LSIの動作速度やバスの転送速度が上がるに従い、電源は使用する場所の近くで作る必要が大きくなりました。これは、電源電圧変動にすばやく対応し、電源電圧変動を小さく抑えるためです。

 同じ目的で、大きなLSIが共通して同じ電源電圧を使用する場合でも一つの大型電源を多くのICが共通で使用する方式から、おのおのICがおのおの専用の小型電源をもつ方式に変化してきました。

 電源装置や電源回路は必ず出力電圧を監視していて、出力電圧を自動的に補正する機能をもっています。電源回路自身も、電源電圧変動を察知してから、電圧を修正するまでの時間を短くする必要があります。

 この電源回路が負荷電圧を関知し、出力電圧を変化させ、負荷電圧を正常に回復させる時間を電源のループ特性と呼びます(図4)。

図4
図4 ループ特性

 電源電圧の補正を早くするためには、電源回路のループ特性だけでなく電源回路と負荷の距離が問題となります。電源装置と負荷が離れていると、電源変動を捉えて電源回路に伝えるための時間が長くなります。また、電源装置が電圧を修正してもその修正が負荷に届くまでも時間がかかります。

 このため、負荷であるICのできるだけ近くに電源回路を配置する必要があります。消費電力の大きなLSIではICごとに専用の電源回路をもち、おのおののLSIの近くに配置します(図5)。

図5
図5 LSIごとに電源を持たせるとループを小さくできる

 電源回路をICごとに分散してもつとおのおののICによる電源電圧の変動が他のICの電源電圧に影響を及ぼさないようにできます。

 このようにICごとに電源回路をもち、おのおの独立させてICの近くに配置する設計をPOL(Point of Load)と呼びます。

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